空白は察して。
私カリーナちゃん。太陽が黄色いわ……
というわけで収納空間に引き籠り、コッショリ君を展開して自分の体について調査をしてみたりもして時間をつぶしました。
色々と小物を作ったりしていたので、木工スキルの腕前も上がったと思われます。
……いや、椅子とかテーブル? うん。コップとかもね?
木の繊維で歯ブラシなんかも作ってみたけどこれは硬くてちょっと痛かった。毛皮の毛の方は逆に柔らかすぎたけど、別の使い道的には両方とも中々――って、これはさておく。まぁ、なんだ。次はもっとうまく作ろう。
いやー、いい汗かいたわー。
ともあれ、数日ぶり二度目の港町ヴェーラルド。
犬耳の兵士さんが私のギルド証を確認してくれている。
「出立がソラシドーレ、8日前。荷物も問題ないようだな、通って良し。ようこそヴェーラルドへ」
うん、5日予定のはずが3日追加されてるなって?
ちょっと考察とか実験とかに夢中になってたんだよ察せ。
いやまってやっぱ気付かないで。気付いても気付かないフリして。
「……その、差し出がましいようだが、洗浄魔法はもう少し強めにかけておくといいと思うぞ? 余計なトラブルを招かないようにな? あと風呂屋は町の中央あたりにあるからな?」
「……ハイ、アリガトウゴザイマス」
に、臭うか? そんなに臭うか!? 風呂屋を勧めるくらい!?
くそう、ソラシドーレへの帰りでは収納空間内に自分用のお風呂を作るぞぉ!
そんなことを考えつつ、ようやく私は荷車を引いてヴェーラルドの中へと入ることができた。
街並みはあまり変わりないが、ソラシドーレより石造りの建物が多い気がする。潮風に強いからだろうか?
まずは配達依頼を先に片付けてしまおう。
自分に洗浄魔法を掛けつつ、冒険者ギルドを探す。
ソラシドーレの冒険者ギルドと似た感じの建物があった。……ってやっべ、流石に建物の中にはいるのに荷車を持ってけないよねぇ。そこらに無料駐車場とかもないだろうし、一旦収納空間に片付けてくるか。
名目的には、宿に預けたってところか。実際、収納空間は私の寝泊りする場所だしな。
と、ここで私の新技をお披露目しよう。
まず、何の変哲もない町角があります。そこに空間を展開!
その空間に向かって曲がります。
すると、あら不思議。私の姿が見えません!
これぞ新技、光学迷彩!
曲がった先、横からは私の姿が最初から見えてないので騒がれず、
後ろの人は私が角を曲がった時点で見失ったと判断できる消え方です。
これにより、街中でも自然に姿を消し、追っ手をまくことが出来るようになりました!
まぁ、現状で別に何かに追われてるってこともないんだけどね。
空間魔法のちょっとした応用よ。
伊達に8日間引き籠ってたわけじゃないんだぜ。
……実は私も良く分かっていないんだけど、なんか出来たってのはここだけの秘密。
というわけで荷車を収納空間に置いて、配達依頼の箱を抱えて再度冒険者ギルドへ。
「ちわーっす。配達依頼のお届け物ってどこに置けばいいっすかー?」
「あら、その箱はソラシドーレのね? こっちに持ってきて頂戴」
受付のおば様に呼ばれてカウンターに荷物を置く。
「開けた形跡なし……っと。はい、受け取りました。依頼達成ね、これが報酬よ」
「あざっす。あと、商人ギルドはどこですか?」
「ギルドを出て右手の方に少し行ったところにあるわね」
「あざーっす」
うんうん、アッサリとしたものだ。
流れるように話が進み、特に絡まれることもない。これが普通なんだよな。
ソラシドーレでも最初登録した時にブレイド先輩に絡まれた以外は特に何もなかったわけだし。
と、ふと門番に風呂屋を勧められていたことを思い出す。
……まさか私が臭すぎて近寄りたくないとか、じゃ、ないよな??
……
商人ギルド行く前に風呂屋いこっかな。うん。
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