オトナな買い物の話・つづき
私カリーナちゃん。先輩に「奴隷を買いたいけどどんな感じ?」と聞いたら酷い現実を突きつけられちゃった!
でも、その上で「ソロのお前なら奴隷を持つのは選択肢としてはアリだ」なんて、どういうことかしら?
私の心を揺さぶって、何しようっていうのかしら! ブレイド先輩ったらもう!
まぁ、冗談はこれくらいにしておいて。
「話の流れ的に奴隷を持つの反対してたと思ったんすけど」
「エロ目的、愛玩目的ならって話だよ。ちゃんと奴隷として働かせるなら別だ」
「な、何故私がエロ目的だって証拠だよ!?」
こちとら女の子ですよ!? 清楚清楚!
「うっせ、今更取り繕っても無駄だぞカリーナ。お前、あの時のシルドンと同じ目をしてたぞ」
「だねぇ。これはキツく脅しておかないと騙されるなって一目で分かったよ」
「……俺、あんなに分かりやすい目してたのか」
ぐうの音も出ねぇや!
「それによく考えりゃ分かることなんだが、そもそもエロ目的で働けるマトモな奴は男女共に娼館行きだろ? 見た目良くて残ってんのは間違いなくアウトな連中だぞ」
「た……確かに!?」
奴隷に拒否権はない。
そしてその方面の
あれば奇跡。あるいは所持してたら捕まる違法奴隷とか曰く付きだろう。
逆に普通の奴隷ならまだマシなのが手に入る。
当然良いのから売れてくから出遅れるとハズレばかりなものの、アタリが紛れてる分まだ良いと言える。
「で。仲間や下男下女として扱うなら奴隷の方がいい。特にお前は秘密が多そうだしな」
「あ、やっぱ気付いちゃいます?」
あまり積極的に隠してるわけでもないんですけど。
「ま、詮索はしねぇよ。それが冒険者だしな」
「実は私ぃ、神様の使いでぇ」
「詮索しねぇって言っただろ! むしろ言うなよ!? 巻き込む気か!?」
チッ。神器集めとか手伝ってもらえるかと思ったのに。
「話を戻すぞ。奴隷は色々と呪いが掛けられている。その中の一つに秘密厳守ってのがあるんだ。本人が秘密をバラそうと思ったら声を含めて身体が動かなくなる」
「へぇー、『秘密だから黙ってろ』って言っとけば安心ってわけですね?」
「そう言う事。商人とかは秘密も多いし、働き手として有用だぞ」
確かに秘密を守る従業員は便利だろう。
「ただ、前提として売られてる奴隷の大半は、悪さをしたか借金が原因で奴隷落ちしたんだって覚えとけ。『自分の奴隷だけは大丈夫』なんて甘い考えは奴隷側からしてみりゃ歩く財布だ」
「……有用ではあるけど、信用や信頼はしない方がいいんですね」
「大事なのは3つ。悪さをする前提で悪さができないように命令すること。命令したこと以外の仕事は何もしないと思って命令すること。そして奴隷身分から解放しないことだ」
なるほど、管理が重要、と。
「ん? なら最初から奴隷に『悪さをするな』って命令しておけば奴隷に罪を擦り付けられて破滅するご主人様は居なくなるんじゃ」
「奴隷が悪さだと思ってないならできちまうな」
奴隷の主観かぁ。息をするように『窃盗して当然』って考えてるやつはこれじゃ止められないんだな。面倒臭ぇ……!
「で、大半の奴隷は悪さか借金で奴隷落ちしたって話したが、そうじゃないヤツもいる。そういうのは別の意味でワケアリなのがヤバい……んだが、お前が買うなら狙い目はここだろうな」
「へぇ? なぜなぜ?」
「お前の方がもっとワケアリなら、多少は気にならないだろ? 内容にもよるけど」
「天才かよ先輩」
納得してしまったよ。フッ、さすがブレイド先輩だぜ。
「よし! それじゃ早速そのワケアリ奴隷を見に行きましょう!!」
「それは無理だぞ」
「ええ!? なんでですか、予約が必要とか?」
「いや、この町の奴隷商ってひとつしかなかったんだよな」
「あっ」
ひとつしかなかった。であれば今は、ひとつもなくなった、である。
一体だれが奴隷商を潰したんだ……私が原因だよ畜生!
「もう完全に奴隷買う流れだったじゃないっすかぁ!!」
「そもそも買う金ないだろ。奴隷って基本金貨からだぞ」
奴隷が消えて無くなるわけじゃないけど、少なくとも新しい奴隷商が決まるまでは購入は不可能。奴隷紋の契約とかができないらしい。
今頃商人ギルドの方でもてんやわんやだろうとの事。結構な利権だろうしね、奴隷商。
「じゃあ腹いせと金稼ぎに木こり行くんで手伝ってくださいよぉ!」
「そっちも買取価格下げるって言ってたぞ。保管所の空きの都合で。さすがに伐りすぎたなぁ」
何それ聞いてない! 踏んだり蹴ったりじゃん、もー!!
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