神様に事後報告 前編
私、カリーナちゃん! 神様に色々と報告ってことで教会にやってきたの!
ついでにお友達のシエスタちゃんに大銀貨1枚を
気持ちは金額じゃないっていうけど、金額は気持ちでもあるのよ!
まぁそれはさておき。
一番前の席に座ると同時に神様空間へと移動する。
また星空のような宇宙空間タイプだ。最初の白い世界は初回限定なのかもしれない。
「神様ー、納品に参りました。コッショリ君ください!」
「まってましたよ! さぁはよ出すのです!」
収納空間に仕舞ってあったサティたんの靴下を取り出す。
うぉう、やはりニオイがきつめだ。かかと付近や指のところで擦り切れたのを繕った跡もある。
そんなボロ布同然の靴下を、神様はシュバッとひったくるように奪った。
「きたぁ! 最高ですよカリーナちゃん! あー、ガツンと来る目に染みる香り! もってけドロボー!」
「ドロボーじゃないですけどあざーっす」
ぽいっと投げられた卵型の像――コッショリ君。これで私も一人時間で安心してコッショリできるというものだ。うんうん。
「ところで神様? 私、これ正気じゃない時にちゃっかり時間停止設定までして収納してたんですけど私に憑依とかしました?」
「してませんよ。前にも言いましたが、カリーナちゃんのその身体は靴下欲強めなので、保管も完璧なんですね。神様ウソツカナイ」
本当かなぁ……いや信じるしかないんだけどね?
「しかし本当にいい働きです。テキトーに送り込んだのにこうして最高クラスの靴下を短期間に2つも貢いでくれるなんて! これは才能ですね!」
「う、うーん? どうも?」
「やっぱり男性の魂に可愛い女の子という形で正解でした。中身が女だと積極性に欠ける。身体が男だと警戒されてこうはいかない。私の慧眼ということでしょう」
「まぁそれでいいですハイ」
まぁこれで今後靴下を納品する必要もないだろう。
「まぁこれで今後靴下を納品する必要もないだろう、と思いましたね?」
……思いましたけど? 心読みました?
「さぁ、ここからが神様のサービスタイム! 靴下を納品するたびにSPをプレゼントします!」
「SP? スキルポイントってことですか?」
「いえ? もちろんソックスポイントですが?」
そんなさも当然って顔で言われても初耳だよそんなポイント。
「納品した靴下の質に応じたSPを上げましょう。SPと引き換えに私がご褒美をあげちゃいますよ! 拍手ー!」
「わー、すごーい?」
「スキルポイントっていうか、技能習得の使い捨てスクロールとかもアリですよ」
「詳しく」
聞き捨てならんぞ?
「フフフ、食いつきましたね! ではカタログをどうぞ。私の手作りなので大事にしてくださいね!」
「ありがとうございます!」
ぽふんっと冊子が渡される。フルカラーの薄い本のようだ。
開いてザッと中を見れば、攻撃魔法スキル習得スクロールとか、武技スキル習得スクロールとか、色々な商品と交換に必要なSP、紹介文が書かれていた。
これは後でじっくり読むとしよう――と、本を閉じたところで、裏表紙の下に『有効期限1年』と書かれているのが目に入った。
「あの神様。有効期限って」
「ええ、このカタログは初回限定でプレゼントしますが、次のカタログはSPで購入してくださいね!」
神様に促されてカタログの最後のページを開くと、そこには「カタログ:200SP」という内容がカタログのイラスト共に載っていた。
200SP……高いのか安いのかわからん……!
「ハルミカヅチお姉さまとサティたんの靴下、それぞれSPにするとどのくらいで?」
「まずハルミカヅチちゃんのは60SPくらいですね、時間経過やカリーナちゃんが握りしめててニオイが移っちゃったのも加味してます。それがなければ80SPくらいかな。……サティたんは文句なしの100SPです! 使い込み具合、香り、保存状態、羞恥心! 全てが最高級です。ぐっじょーぶ、単体最高点ですよ!」
「なるほど」
最高点で100SP。
つまり、1年以内に最低でもあと2つは靴下を納品しなければカタログを使う権利を失ってしまうし、更にアイテムが欲しければもっと靴下を納品しろという事。
どうあがいても靴下を納品させたい神様の思考が透けて見えるな???
そうだ、この世界奴隷商がいるってことは奴隷も居るんだよな?
なら、女の子の奴隷を買って靴下を履かせて……!
「ちなみにSPの査定は私の気分です。同じ人の靴下をいっぱいとか連続とかだとどうしても査定額は下がりますのであらかじめご了承ください。いくら最高なものでも、毎日ステーキってのは飽きるでしょ? そんな感じ」
「……ですよねー」
「忘れた頃にたまに、ってくらいなら大歓迎ですよ!」
んー、たまにならアリなのか。
そう考えると奴隷を買っておくというのも悪くない手ではあるか……検討しておこう……って、すっかり靴下納品する気になってるな。
おのれ神様、商売上手!
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