完璧美少女カリーナちゃんの失敗
あー、思いのほか時間がかかって
お財布には合計銀貨5枚程度しかなかったし、手間もかかっちゃったわ。
まぁ、あいつらマークしたし、自首しないで逃げだそうとしたやつがいたら宣言通りワンモアセッして再度詰め所に突き出してやろう。
そうそう、それとアイツらを脅してた時に昼間のように明るくしてたんだけど、あれは実際に太陽光で照らしていたんだ。
やり方は簡単。
昼間のうちに太陽に向けて空間魔法を開きっぱなしにする。
こうすることで、『太陽光』を空間魔法に収納することができるのだ。
まぁ空間魔法の収納空間は光や音、温度は自在に操作できるので、そっち使えば不要だったんだけどね。気づいたのはつい先程だけど。
収納空間部屋の照明に良いかと思ったのに……
さて、今は徹夜してしまって眠いので、ひと眠りしてから
……ん?なんか忘れてるような。
「あ、パイセン達に報告してねぇや」
協力してもらったし、絡んでくる奴ら全員懲らしめたから大丈夫です報告くらいはしておかないとな。……徹夜しちゃって眠いから、ひと眠りしてから!
* * *
「というわけでお財布退治してきたんですよ」
「ってか、財布にしか見えてねぇのかお前……いやもういい。それで?」
「縄張りのヤツ全部釣って、財布の中身は併せて銀貨5枚くらいだったわ。シケすぎ!」
こんなんじゃ木こりの方が圧倒的に稼げるよ!
「悪人ならもっと金貯め込んでなさいよって感じ?」
「遊ぶ金は現地調達だろうし、手に入ったらさっさと遊びに行くのがあいつらだぞ。大金持ってるわけないだろ」
「言われてみれば。先輩賢者かよ」
まぁ、昨日は銀貨40枚抱えてるカモの噂でどこもかしこも待ち受けてたらしいですけどね?
「まーね。そんなわけでこの後で金庫――じゃなかった。奴隷商へとカチコミかけようかなって。どうです先輩もご一緒に」
私が得意げにそう言うと、ブレイド先輩はまるで残念な子を見るように眉をひそめた。
「なんすかその顔は。先輩も魔法でアレコレしちゃいますよ?」
「あー、なんつーかなぁ……お前の仕業だったのはなんとなく分かってたんだけど……」
「言いたい事があるならハッキリ言ってくださいっす!」
「……その奴隷商、今頃憲兵が潰し終えてるぞ」
な、なん……だと……?
「まって!? 私のお金は!? 横殴りとか許されざるよ!?」
「最初にそれが出る辺りアレだなぁ……お前、チンピラ共を自首させただろ」
「させましたね。なんだ先輩、今回は情報早いっすね」
「ウチの近くに詰め処があるんだ。んで、大声で『俺は○○しましたぁッ!』って話してたから聞こえてきたんだよ」
なるほどね?
「で、その証言を基に早速憲兵が奴隷商に向かってった。そりゃもう、獲物に逃げられないよう迅速にな」
「……あー」
つまり、私が寝てる隙に美味しい所を掻っ攫われてしまったらしい。
おのれ憲兵! 仕事が速いじゃねぇかちくしょう!
私が寝ちゃったのが悪いんだけどさぁ!
「ぐすん、私の金庫ぉ……」
「はやいとこ救出が必要な人もいただろうし、良かったんじゃねぇの?」
「くそう、パイセンが良い人すぎる」
尚、奴隷商の持ってた金は被害者への補償に使われるらしいので今更横取りするわけにもいかないようだ。
……そんな話聞くと今後も悪人からお金を奪いにくくなるじゃないかぁ! もー!
「つーか、マジどうやったんだよ。あいつらそれなりに強いはずなんだけど、あそこまで怯えさせるとか尋常じゃないぞ」
「そりゃー、魔法でチョイチョイっすよ」
「そっかー。やられる心配は一切してなかったけど……魔法ってすげぇなぁ」
俺も勉強してみようかな? とブレイド先輩が零したので、流石に止めておく。
私レベルは神様に愛されでもしないと無理だろうからね!
「まー、ちょっと神様に報告でもしてきますわー。あ、この件私はただ餌になってただけって事で頼みますよ」
「そうだなぁ、無駄に力見せびらかしても仕方ねぇし……ま、金が欲しけりゃいつでも木こりに誘ってくれ」
「りょ」
「……それは了解ってことでいいのか?」
と、そんなこんなブレイド先輩と話した結果、カチコミ予定が無くなったようなので神様に報告に行くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます