(またしても)空白の記憶
はい。カリーナちゃんですよ。
今日もまた記憶がすっ飛びましたので現状確認と参りましょう。えーっと、ここは宿の一室かな?
散乱した衣類に、可愛らしく「くぴー」といびきを立ててるドワーフのサティたん。
そしてこの、お互いラフなキャミソール姿よ。
うん。
やっちまったなぁ!!
「ふぁっ、あー……あぁ?」
サティたん起きた!
「……おはよぉ」
「お、オハヨウゴザイマス。サティさん」
「サティたん、でしょぉ? 私とカリカリの仲じゃんかぁ。いやー、昨日は楽しかったねぇ。つい飲みすぎちゃったよぉ」
サティたん、カリカリ!? 何それ超仲良しじゃん!!
「すみませんサティたん。私、記憶が飛んでます。どうなりました?」
「え!? あー、そういうタイプかぁ。勿体ないなー。ま、私は楽しませてもらったけどぉ」
にしし、とイタズラっぽく笑うサティたん。
メスガキ属性か!? メスガキ属性なのか!?
「カリカリは酔ってる間に奴隷契約結ばされないように気を付けた方がいいねぇ」
「何があったんですかーー!?」
「いやぁ、部屋飲みしよーって誘ったのは私だけどさぁ。突然脱ぎだしたときにはビックリしたよー。あとちゅーされた」
うわぁぁあああ! やっぱりやらかしてる!!
ここはサティたんのお宿! そしてお持ち帰りされてる私!!
いや襲ったのが私か!?
「それにあとは、えーっとねぇ……(ごにょごにょ)……で、それから」
「口で!? うわぁ、その。ごめんなさい……」
「その口でちゅーされた私……んーん、気にしないでぇ。飲ませた私も悪いのよぉ」
お酒でタガが外れた私、もしかして神様と同レベルの変態になってるのではなかろうか。
ほんとお酒怖い。記憶が一切ないのもヤバいよなぁ。
「旅してると酔った勢いで押し倒されるのも良くある事だしぃ、ちゅーくらい挨拶よ挨拶ぅ。ま、押し倒してきた相手には高値で商品売りつけたりするけど」
「ん? サティたん。私のリュックがパンパンになってるんですけどあの中身って」
「うん、昨日カリカリが私から買ったお酒だよぉ? 一杯買ってくれたから私も大満足だよぉ。大好きだよぉ?」
そう言ってサティたんが近寄ってきて、ほっぺにちゅっとされる私。
うわ、うわわっ、ちゅーされた! 柔らかかった! やべぇ、顔真っ赤になってるよ私!
「へぇー、酔ってないとそうなるんだぁ。カリカリってばホント可愛いねぇ」
しかも優しく頭をナデナデ。ちっちゃなおててが私を撫でてる!
手玉に、手玉に取られちゃうぅ……っ!
「なんかその、その……すみません……ッ」
「ホントだよぉ。色々初めての扉あけちゃったぁ……てゆーか、私の靴下返してくれないかなぁ? どこに隠したのぉ?」
ハッ、と私は自分の収納空間にボロ布――ではなく靴下が仕舞われていることに気が付いた。
……しかもバッチリ時間停止されている! なんて手際が良いんだ!?
これはこのまま納品しろという神のお告げに違いない。
私は
そして、あたかも胸の谷間から取り出しましたよと複製した靴下をずるずるっと引き出した。
「あー、すみません。なんかこんなとこに入ってまし、うわ臭」
「ちょっとぉ!? それは言わないでよぉ!? 無理矢理脱がしといてからにぃ! 昨日は大喜びだったくせにぃ!」
赤面で、少し涙目になって訴えてくるサティたん。
これはもう神様の大好物確保ですよええ。間違いない。
……むしろ手際よすぎたのと相まって神様が憑依してきてる疑惑もあるな?
「うぐぐ、谷間って、谷間ってぇ……ドワーフはその辺ちっちゃいのが普通だから悔しくないしぃ。てかぁ、めっちゃ探したんだけどなぁそこ。まぁちゃんと返してもらえてなによりだよぉ。洗浄、洗浄、洗浄……」
「ごめんなさいサティたん……!」
思わず臭いと言ってしまったからか、念を入れて洗浄魔法を掛けるサティたん。
いや、うん、そこまで臭くはなかったけど、ツンとした臭いについ……むしろ濃厚でおいしそう、とか思ってしまったのは絶対この身体のせいだ。おのれ神様。
そしてホントごめんサティたん! 私、神様に靴下納品しないといけないの!!
コピー品を納品するのはダメだけど、コピー元を納品するのはアリのはずなの!!
神様に納品する靴下に関してだけは、オリジナルとコピー品と差し替えるのアリって事でオナシャス!
「ちょっと、胸に私の足のニオイ沁みついてなぁい? ちゃんと洗浄してよぉ?……かゆくなっても知らないからねぇ?」
「え、まさか水虫持ちですか?」
「ミズムシ? なにそれ、ヒルか何か? いや、臭いのがムレるじゃん?」
んん? まさかこの世界には、水虫菌が存在していない……!?
……神様が徹底的に消した可能性あるなコレ!
まぁ水虫にならないならむしろ良し!
行商人的にありがたいことこの上なし!! まぁ私は空間魔法あるけど。
蒸れないよう靴の中の通気性よくするとかできるけど。
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