報酬ゲットだぜ!


 私カリーナちゃん! 1日で銀貨48枚を稼いだわ!

 このうち7割が私の報酬よ!! いやぁ、はやくも商人ギルドに入れちゃうな!


「……大規模木こりパーティー級の納品数ですよこれ。」

「だよなぁ……俺らも驚いてる」

「ホント凄かった。ブレイドの表現が誇張じゃないのって初めてかもしらん」

「あ、シルドンもそう思った? 俺も」


 遠い目をする先輩達。受付嬢さんはえーっと、7割だといくらになるかしら……と計算してくれている。


 報酬くださいよ。はよ。


「とりあえずカリーナ。大銀貨4枚がお前の取り分だ」

「えっ? ちょっと待って先輩。私の取り分は銀貨33枚と大銅貨6枚でしょ。道中で狩ったモンスター分は荷車代と相殺してるよね? 大分多くない?」

「……これ以上貰えるかっての。先輩としての意地だ……だーっくそ! お前大物になるよ! 俺が保証する!」

「あざーっす!」


 計算ミスしたわけではないらしい。

 なら、遠慮なく貰っておきましょうかね。先輩の顔を立てるのも後輩の務めよ。



「んじゃあ、商人ギルドの登録料に銀貨25枚分引き出しかな」

「商人ギルドとは提携してるので、このままで大丈夫ですよ」


 行商人兼冒険者の人が結構な数居て、提携もしてるらしい。それは便利だな。


「それと、ランクアップ手続きをしますね。おめでとうございます、Eランクです」

「え、ランクアップ? やりぃ。早くも新人は脱却かぁ。……まだ登録してから3日目ですけど? いいの? どういう基準なん?」

「1か月に大銀貨1枚稼げたらEランクになります。生活できる程度の収入、が基準ですね」


 なるほど、なら1日で大銀貨4枚稼いだ私は文句なしでランクアップというわけだ。

 Dランクになるには月大銀貨2枚だが活動期間も必要で、Cランクからは更に色々な依頼を達成したり、信用度なんかも関わってくるらしいのでさすがにすぐには無理。


「そこ考えると、ブレイド先輩達ってしっかりした冒険者だったんすねぇ?」

「なんだよ、どっからどう見てもしっかりしてんだろ?」

「いや最初酔っぱらって絡んできた風だったじゃないすか。ね?」


 うぐっと言葉につまるブレイド先輩。


「……なぁカリーナ、本当に商人になるのか?」

「そうっすよ。ブレイド先輩のおかげで予定よりも遥かに早く商人になれそうっす! 感謝感激!」

「ああ、どういたしまして。お前さえよければ正式にウチのパーティーに勧誘しようかとも思ってたけど、まぁ無理だな。今日の見る分に俺らが足りてないわ」


 なんというか、真面目だなぁ。

 もっとこう、何も知らない新人から搾取してやるー、みたいな人だったら面白かったかもしれないのに。

 神様ほどじゃないけど「えいやっ」って感じで懲らしめるイベントとかさぁ。



「あ。そうだ先輩。シュンライ亭の飲み代って銀貨何枚くらいあればいいんすかね?」

「ん? なんだ、ハル姐さんに会いに行くのか?……また身ぐるみ剥がれないように気をつけろよ?」

「なんなら先輩達の分も奢るっすよ、お礼に?」

「バカ言え、商人になるなら無駄遣いしてんじゃねぇよ。つか、今日の稼ぎで十分礼は返してもらったわ。気にすんな」


 カッコつけさせろよ、と笑うブレイド先輩。


「ま、せいぜい変な奴に絡まれないよう気をつけろよ。商人の世界は俺らほど優しくねぇって聞くからな。……カリーナなら大丈夫だろうけど」

「おっ。知ってます? それフラグっていうんですよ」

「ふ、フラグ? いや分かんねぇな」


 これはおそらく商人になったら詐欺師みたいな人と会うフラグに違いないね!

 ま、騙されて金を奪われても空間魔法で何とかなるもんね! へへへっ!


「困ったことがあったら姐さんに相談したらいいんじゃねぇか? 店のオーナーってことは商人ギルド入ってるはずだしよ」

「言われてみれば!」


 これはますますハルミカヅチお姉様に会いに行かねば!!


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