第21話 新たなる仲間?第二勢力の頭――百目鬼
「は……? 今なんて言ったのじゃ? それとそのキザな決めポーズはどう言うつもりじゃ?」
「キミは生きてる。僕も生きてる……この瞬間も、
(言葉は生物だから、そう何度も言いたくないんだ。僕は人とのコミニュケーションは一期一会だと思っているんだからね)
「んぁ?? 何じゃ、何を申しておるのじゃこの目玉キザ
「この
(僕の言葉がわからないの? どうしよう……これじゃあ傘下に入れてもらうどころじゃないよ)
「何じゃあテメェえ! おちょくっとんのかコラぁあ!」
ヨドミがキレ散らかしても、したり顔でポーズを決め続ける
「お嬢様、このクソガキも一応心の方では誠実に振る舞っているみたいですよ」
「そうか……大五郎はある程度人の考えておることがわかるのじゃったな」
「
(そうです。僕の話しを聞いてください)
そこから大五郎は百目鬼の話しを解説してヨドミに伝えた。聞くと彼は本当にヨドミの傘下に入りたがっている様で、理由はアクロバティックサラサラの語った通り、彼の一族が白雪家の妖狐を心の底から恐れているからであるらしい。
「星はキミ……」
「……こう言っています。僕はトップの器じゃない。だからこそナンバー二の座に甘んじている。だけど僕だって妖怪の端くれだ、頂にまで上り詰めてみたいとは思う気持ちはある。でもこの大願を果たす為のリーダーは僕じゃない。きっと“妖狐”であるキミなんだ……と申しております」
「なっっが!! マジか」
「この手がキミの手と触れ合う時……
「いいかよく聞いてくれ。キミも知っての通り黒縄小学校の勢力図は『覚組』が全校生徒の内半数を占めている。そして次点が僕たち『百目鬼組』で、全校生徒の内三割が僕の傘下だ」
「ふむ……それで、おぬしは儂に何を望むのじゃ? こんなうまい提案をする代わりに……何かあるのじゃろう?」
「散り散りになった星たちをかき集めて……」
「キミにして欲しい事は一つだ。それは
「なんじゃと……しかし確かにそれが実現すれば、無所属の者と『百目鬼組』に者の勢力を合わせて五割……『覚組』の勢力に並ぶ事が出来る。そうなればバンチョーを引きずり下ろし、その玉座に儂が座る事も……」
「ライオンハート……げっちゅ」
「でもそれまでの間『狐組』は、形式上では『百目鬼組』の傘下という事にしておこうと思う」
「なに?」
「これはほとんどの無名のキミたちよりも、僕たちの組の方がネームバリューがあるからそうするだけだ。その方が名前に恐れて無所属の者を傘下に加えやすいからね。……でも目標を達成したその暁には『百目鬼組』は新生『狐組』として、キミに番長の座も譲る事を約束する……との事です」
「まさに……渡りに船とはこの事じゃあっ!」
喜び勇んだヨドミと豆狸、そしてちゃっかり輪に加わって飛び跳ねているヨシノリくん。
次に口を開いたのはヨシノリくんだった。
「でも、どうやって無所属の二割の者を傘下に加えるの? 『覚組』でも『百目鬼組』でも傘下に加えらなかったから無所属なんでしょ?」
「お前は傘下に加えんぞヨシノリ! ……うぅむ、しかし確かにおぬしの言う事は最もじゃなぁ、かなりあの二大勢力になびかんかったという事はかなりの曲者揃いじゃろうて、ちと頭をひねらねばならんな」
そこで声を上げたのは豆狸であった。彼は得意そうに鼻の下をこすってヨドミに振り返る。
「そんなん簡単やん姉さん。
「あっそうか。それなら簡単じゃ! ワーッハッハ、良いぞ目玉キザ男、おぬしの提案に乗ってやる! これより無所属の者たちを叩きのめし、全員と“お友達”になってやるのじゃ。いずれ『百目鬼組』ごと儂のお友達じゃ! わっはぁー苦しゅうない、苦しゅうないぞぉ!!」
無表情に頷いた百目鬼と、鼻息を吐いた大五郎。
何はともあれ、ヨドミの長き一日は大躍進と共に幕を閉じるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます