第5話 キツネのリンチ
クラスのイジメっ子『無意味三人衆』にボコられたヨドミ。今朝方大妖怪の“妖狐”として尾っぽを生やしたヨドミであったが、よくよく考えたら自分がどんな能力を使える様になったのか全くわからないのであった。
「解説終わったんかいなぁあ!! ほな行きましょカーッパァァァ!!」
「ひぃい、く、来るななのじゃ、この河童ぁ!!」
ヨドミを遅刻させてクラスの笑い者にしてやろうと目論む三人衆は、こちらが上の立場とわかると途端に眉を吊り上げ口をへの字にする。
「なにが妖狐シャキ! お前はこれからも軟弱な人間ジャラ!」
「お、おのれぇ言わせておけば……!」
迫り来る悪童を前に、ハッシと白い尾っぽを抱え込んだヨドミ。決死の形相であれやこれやと神通力を試みるも何も起こらない。
「なんでじゃー!! あやつらの心臓が途端に破裂する神通力をイメージしておるのに!! ぐぬぬぅ、目から血を噴き出し鼻から内蔵を出して苦しみもがけぇ!!」
「えぇっ、そんな神通力があったら流石の爺も引いてしまいますよお嬢様……」
疾風迅雷と走り込んで来た河童。気を溜めた彼による怒涛の突っ張りが、ヨドミの全身を容赦無く打ち上げていく。
「覚悟せいよヨドミィィ!! 尻子玉抜いて二度と反発出来ん様にしたるからなぁあ――ホリャァア“カッパッパ突っ張り”!!」
「ギャァァァ!!!」
舞い上がった中空にて何回転もしながら、ヨドミはスローモーションの様な光景で自分の不遇を思っていた。
――なんでじゃあ……生まれてこの方半人前と扱われ、ようやっと妖狐の力が発現したかと思えばこの始末……
「シャキィイイ!! 食らえ“
「いでででッ!!! カッチカッチの豆を投げるなぁあ!!」
落下しながら小豆による激しい追い打ちを受け、ヨドミは受け身も取れずに落下していく……
――あぁ駄目じゃ……儂はやっぱりお母ちゃんの様にはなれんのだろうか?
高い土煙を上げて墜落したヨドミ。三人衆は腹を抱えて体をくの字に曲げ始めた。
「カーーっパパパ!! 今日もボッコボコや、この河童様に二度と逆らったらアカンでぇ!」
「シャキシャキシャキシャキ!! 枕返しも笑ってやるアズキ!」
「……っ……ひ……フッ……」
下賤な笑い声が周囲を取り巻いた。
視界の眩む位に周囲に満ちた白煙の前に佇み、大五郎は残念そうに俯く。
「お嬢様……」
――やがて土煙晴れ渡るそこに、
「カッパ?」
「ジャラ??」
「……??」
「お嬢様……これは!」
視界晴れ渡るそこに――その場に居た者が目撃するは、
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