第1章 エピローグ

第24話 エピローグ その1 再戦

現在エリク家領地上空--


「外つ国からの来訪者、『新たなる可能性』。聖魔の星々の宿命にどのような変化をもたらすかのー。」

 ゼニスは期待を込めて愛弟子がいる方を見る。愛弟子というより、勝手に育ったという方が正しいが。


「ホホホ。それまでワタシは宿命に従い行動するまでですねえ。」

 冥王は答える。『冥王の宿命』ーー表向きには、『冥王の剣』を奪還し、かつての力を取り戻すこと--それに従うということは--


「貴様、モーブを!」

 --現在の所有者であるモーブを殺して、『冥王の剣』を奪うということか…。


「ホホホ。それを止めるのがアナタなのでしょう?それとも、居眠りばかりで戦えなくなりましたかねえ。」

 冥王の目が笑っている。巫山戯た冗談だ。ただ、自分と戦いたいだけ--いや、戦いの勘を取り戻させてやるということか。


「フン!戦えるかどうか、見せてやるわい!」


 ◇◆◇

「ホホホ。『冥炎』『冥風』…『冥炎嵐』!」

 冥王の合成魔法がゼニスを襲う。合成魔法自体はゼニスも使えないこともないが、発動までにかかる時間が長すぎ、戦闘では使わない。


「ぐう!『大障壁』!」

 黒い炎の嵐の勢いに押される。


「ホホホ。『冥力弾』!どうしましたかぁー!魔法技術は昔と変わりませんが、戦いの組み立て方がなっていないですねー!」

 ゼニスの魔法の腕は衰えていない。毎日、魔法による幽体離脱を行なっているのだから。


「なんの!ぐわっ!」

 冥王から放たれる弾幕を避けていると、何かにぶつかり、弾けた。


「ホホホ。5秒前に仕掛けた罠ですよーwこんな罠、昔のアナタは引っかかっていましたっけー?ウヴォ!」

「オヌシも引っかかったのーw」

 お互いに攻撃魔法を放ちつつ、不可視/可視の罠を仕掛け合う。これがこの二人の戦いだ。


「ホホホ。やりますねえ。『冥影縛』!ワタシが引っかかったからと油断しすぎですねえ。」

「身動きが…!」

 大賢者の足元から伸びた影が大賢者を締め上げる。


「ホホホ。ワタシの勝ちですねえ。死に損ないの老ぼれをあっさり殺すのは『冥王の沽券』に関わりますから、5分ほど待って差し上げますよw」

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