第17話 幕間 歓談

現在 夜も更けたエリク家領地。


 小腹が空いた頃合いに冥王の部下が皿を持ってくる。

「芋もちのチーズ添えにございます。」

 冥王の魔力で動いているのであろうガイコツをゼニスは見覚えがあった。先の大戦時、冥王に付き従っていたからだ。


「寝る前にこのような重たいものを…!分かっとるのー、冥王。」


「ホホホ。寝る前こそこういうものが食べたくなる。困ったものですねえ。」


「庶民の食べ物である芋もちに温められたたっぷりのチーズが添えられることによって、冥王の食卓の一品となるのだのー。」


「ホホホ。それにしても、あの三人。いつもああなのですかねえ?もう少し進んだ関係だと思っていましたが。」

 モーブたちを見ての感想である。睦み合っても交わりはしない。


「そうじゃのー。これから始まる戦いの宿命が先に進むのを拒んでいるのかも知れんのー。」

 交われば子を成すこともある。子を成せば戦いに参加できない。あのような少年少女ですら、過酷な宿命の中にいるというのか。


 終わりなき魔族と人間の抗争…振り撒かれる災厄…

 次なる大戦が近いことは星々が告げている…

 年端もいかない少年少女に過酷な運命負わせる…


 --ワタシも似たようなコトをしていますからねえ。


 百年をかけ試行錯誤を重ねた冥王の計画。

 不幸な子供たちを使い、その親たちに永遠の忠誠を強い、冥王の駒となる『◯◯』を作りあげるという計画。

 次なる大戦を前に、数奇な運命を背負った、アーシェという不幸な少女を使い計画は進められていく…

 計画の成否を知るのは運命の女神たちだけだろう…


「ホホホ。聖魔の星々の導きには逆らえないですねえ。」

 宿命に縛られるのは、人間たちだけではない。魔族たちもそうだ。そして、冥王も例外ではないのだ。

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