前大戦の物語 王都攻防戦
第12話 開戦
王都近郊の平野に獣王軍が展開している。
中央の本隊を獣王が率い、左翼と右翼を獣王軍の四天王が率いる。
獣王軍の電撃的な侵攻の前に、侵攻ルート上の王国各地の貴族領はなすすべもなく陥落。王家直轄地の4割が獣王の手に落ちた。
貴族領軍・住民の大半が王都に逃げ込み、王都の備蓄を削っていく。
また、獣王の前に城壁は紙屑に過ぎないことは分かっているため、籠城はできないという判断となった。
城壁の粉砕によって引き起こされるであろう民の混乱によって、指揮系統の瓦解の危険が想定されたからだ。
このため、王国軍はこの平野に引っ張りだされた形になる。
王国軍は中央を勇者と大賢者が率い、左翼と右翼を王国の将軍が率いている。
王国軍には勇者パーティーの他、後の世に英雄と呼ばれる者たちも数多く参加している。
「まずは小手調べといくか…」
獣王べレスは『獣王の矛』に力を込め、解放する。
「『獣王爆壁衝』!」
各地の城壁を破壊した大技だ。獣王を中心に壁のように衝撃波が展開し、王国軍に向かって襲いかかる。
王国軍から花火が上がり、魔法職たちの魔法を発動させる言葉である『宣言』が響き渡る。
『大障壁!!』
動員された魔法職が多いのだろう。獣王が放った衝撃波は防がれた。
--対策を取られていたか…。魔法職が多いとなると損害は避けられないか…。
◇◆◇
『大障壁!』
獣王の放つ衝撃波を受け、大賢者ゼニスは驚きを隠せなかった。
「何だ…これは?前に戦ったときはこんなに強くなかったぞ。」
剣聖が呟く。
「獣王から大きな力を感じます!以前の獣王とは思わないことです!」
聖女が声を上げる。
「あんな大技連発できる訳がない!距離をつめるぞ!魔法職は詠唱しつつ着いてこい!戦士職は魔法職を守りつつ進め!」
勇者が全軍に指示を出す。あの技を出させないために距離を詰めるのは間違えていない。それまでの間に第二撃が来てもいいように詠唱もしている。距離を詰め、乱戦に持ち込み、魔法職が敵の後衛を魔法で蜂の巣にしてしまえばいいのだ。
--しかし…そう上手くいかないように大賢者には思えてならなかった…。
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