第8話 冥王軍『ノーライフ・ソルジャーズ』

冥王は魔族に使役されていた獣人族奴隷を見やり、ため息をつく。


--これでは戦いの役に立ちませんねえ。

魔族の獣人に対する扱いの酷さは話には聞いていたのですがねえ。ここまでとはねえ…。


奴隷として酷使されたためか、全員痩せ細り、中には手足がない者、目が失われている者、既に虫の息の者までいる。


「皆さん、死に損ないという感じですねえ。これでは…役に立ちませんねえ。No.1でてきなさい。」


冥王は自身の影に向かって命令する。


「は。冥王様。」


冥王の影から額に『1』と書かれたスケルトンが出現した。手には何故か鍬を持っている。


「ホホホ。No.1。彼らをいい感じにしてやって下さいねえ。」


「全て冥王様の御心のままに。」


--いい感じだと?まさか、同胞たちをアンデットにするのでは…!


「め、冥王、やめてくれ!」

ベレスは叫ぶ。


「『生命の息吹』!!」

No.1と呼ばれたスケルトンがは手に持った鍬を地面に振り下ろす。

No.1を中心に癒しの魔力が放たれる。


--回復呪文だと?同胞たちに生気が…手足や目の欠損までも…!

ここまでの力を持つアンデット…まさか、伝承に名高い冥王軍『ノーライフ・ソルジャーズ』?

--200年前に滅びたと言われていた冥王軍が復活したのか?


「ホホホ。No.1サム。お疲れ様でした。それでは、出陣の準備をしなければなりませんねえ。No.3でてきなさい。」


「は。冥王様。」

今度は額に『3』と書かれたスケルトンが出現する。


「ホホホ。5000人も『獣王の郷』まで普通に移動していると出陣がいつになるか分からないですからねえ。」


「ほぉっほぉっほぉっ。『獣王の郷』…位置は掴めたぞい。

では…時空魔法『転移10』!!」


No.3を中心に時空の狭間が広がり、獣人たちを飲み込むのであった…。

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