第5話 白い霧



真っ白な霧が街を覆っている

山から見下ろす街が見えなくなっていく


街からは

この山も霞んで見えないのであろう


見えない街は

まるで音を無くしたように静まり返っている


もうすぐ夜の帳が街を消してしまう頃には

やがて灯が付く喧騒の明かりも

微かに見え出すかもしれない


その頃には山も焚き火がとも

優しく包んでくれるであろう


街灯の明かりをさえぎる濃霧は

目の前で風に揺られている


それも束の間で

薪に火を入れる頃には

街では色とりどりの火が付くのか


誰もが眠らない街で目を瞑る時


私は立ち昇る煙と共に

星と語り明かす

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る