第5話 ダイエットは必要なのか?

 第四章

 少なくとも、現状では、肥満である事は違法行為ではありませんから、どのような体重で生きていくかは、全く私的な判断の結果であるべきです。従って、他人(ご家族を含めて)がとやかく言うべき問題ではありませんから「ダイエットなんてクソくらえだ」と、言う主張は、その人の個人的な価値観としては、尊重されて然るべきものです。たとえ、その方がBMI指数35(仮に身長が175㎝であれば体重110㎏ほど)以上の「高度肥満?」であり、肥満によって具体的に命の危機に曝されていたとしても、です。

 また、痩せすぎは勿論、それが適正な範囲に収まるにしても、痩せてさえいれば、それですべて良いわけでもありません。たとえば、それが考えぬいた上での納       

得では無く、我慢、我慢の連続の結果であれば、精神的に考えれば、害悪ですらあります(大体、我慢を一生し続ける事は不可能ですし、もし、逆に続いたら「我慢」ではないのでしょうが…)。

 また、美容目的にダイエットしようとする方も一定数いらっしゃるとは、考えますが、私に言わせれば、論外の論外です。痩せていることをプロとして求められている方達の真似をするのは危険極まりない行為です(やり方によっては、下手をすると太っている事よりも不健康になりかねない)。

 そうは言っても、たとえそこに恋愛感情が絡まなかったとしても、周囲の方達から好意的に扱ってもらえるかもしれません。それが事実、現実でしょう。しかしながら、俳優さんモデルさんの類いの方達は、極端に言えば、死んでも構わないから痩せていなければならない職業を選んだ人達です。それが嫌なら、転職すればいいだけの話しです。つまり、一般人の価値観とは相容れない世界に生きている人達なのです。そう言った内面の覚悟は受け入れずに、表面的なある一面だけを真似する事は、如何なものでしょうか(私に言わせれば、芸能人の髪型を真似るのと同様に超カッコワルイ)。実際、普通の社会?でも、最初の印象が幾ら良くても、乍く時間が経てば、その方の中身(人間性?或いはレベル)が現になってしまい「残念!」と、落胆する事もしばしば遭遇してしまう、もう一つの哀しい現実です。美容は、より健康になった時に結果として付いてくる場合があるものだと、認識すべきではないでしょうか(勿論、各個人の観念は、尊重されるべきですから、私の考え方を強要は致しませんが…)。

 要は、有限な人生を如何に生きるのかから考え始め、各自が個人それぞれの価値観に基づいてより良く生きられる可能性を高める為に、体重は選択されるべきものなのです。しかもそれは、少なくとも、長さだけを目的としてする事ではありません。

 また、我々は、家畜ではありませんから、自分以外の誰かに如何に生きるべきかを指図されるべきものでもありません。たとえば、お医者さんは、基本、肉体的な健康を維持するにはか、どうすべきかをアドバイスするのが仕事ですから致し方ないのですが「タバコは止めろ。酒は控え目にしろ、体重は減らせ。運動しろ」等と、科学的に正しい事を連呼しがちです。体育学や栄養学等の専門家含めて「理系」の方たちに有り勝ちですが、人間は合理性だけで動くものだと、勘違いしているのではないかと、疑っています。勿論、客観的な一般論としては正しい発言です。ですが、それを受け入れるか否かは、個人の判断に任せられて然るべき問題です。つまり、必ずしも真に受ける必要はありません(猫撫で声ですり寄ってくるサプリメント等や自称「楽々ダイエット法」に走るのは、その何千倍も駄目駄目ですが)。但し、当然、そのような正当なアドバイスを無視した場合には、当然、責任が伴います。その上でどこまで覚悟するかは、嫌な言葉でもあるのですが、文字通り自己責任です。

 その覚悟は、個人それぞれのものではありますが、人は、社会的な生き物でもあります。他の事象と同様に、家族は勿論、道ですれ違うアカの他人も含めて自分以外の人はどう感じるのか、と、言うような感覚的な問題から、果ては、公的な医療保険制度等における費用負担を増大させてしまう事等に対して、社会的にどう振る舞うべきなのか。そのような周囲の人間にかけてしまうかもしれない多種多様な「迷惑」をも含めて考えてみるべきでしょう。 

 結果としては、何となく漠然と痩せたいとか。より長く健康で暮らしたい等と、中途半端な考え方で取り組むべきものではないのです。ダイエットとは。

 また、ここまで「偉そうな説教」を連続的に称えては来ましたが、既に若干は触れていますが、私は筋金入りの喫煙者です。本音を言えば「タバコ吸って何が悪い。一々、うるせぇー」と、言いたくなります。肥満より遥かに害悪度?の激しい事について、全く反省が無いわけです。言い方を換えれば、他人に「説教」する資格はありません。つまり、私自身も喫煙に対しては、肥満に悩んでいる方と少なくとも同様に、或いは説教を公にしたからには、それ以上に「考える事」を求められています(たとえ「禁煙なんて、クソくらえだ」と、現状では考えていたとしてもね)。更には、ダイエットはさほどには苦労し無かったのに喫煙に関しては、丸で駄目な人間であり、真剣に考え始める事すらしないのが自分でも不思議であり何故そうなのかも分かりません。

 そのような、矛盾に満ちた人格は、多分、私だけでは無いはずです。言い方を換えれば、自己管理能力がないから、或いは、我慢しないから、はたまた、感情や欲望をコントロール出来ないから、ダイエットが出来ないわけではないのです。更に言えば、何も考えていないわけでも無いのです。再三の繰り返しにはなりますが、今の自分の考え方を白紙の状態に一旦リセットして、改めて一から自分の都合では無く、客観的に考え始める気があるのか、それとも否かがその成功を左右する全てです。

 で、結局、これからの生き方をどう考えるかなのです。結果、その深さはどうあれ、考えてさえいれば、上手くいかなかった場合にも、思考の順番や優先順位或いは条件を変えていけば、チャンスは何度でも訪れるはずです。

 難しいかもしれません。私は偶然、体重に関してだけは、変われましたが、タバコは止められないようです。矛盾。人を生きていく事とは、そう言う事を繰り返す中で多くの失敗を重ね、さらなるステージで、また更なる問題に遭遇して悪戦苦闘し続ける事でしょう。多分ね。

 どうか、私の訳の分からない罵声を冷静に吟味して、それが、私の禁煙に対する姿勢と同様に「クソくらえ」を含めて、どんな結論でもOKですから、各自で決めて下さい。なぜなら、要は、それをしない事も含めて、あなたが望むであろうより良い人生を送る為に最適な体重を強烈な覚悟を持って選択する事がダイエットの必要性の有無を決め、もし、するのであれば、最初の一歩、始まりだからです。

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