第50話 アメリカは不景気になっても経済破綻しないのか?

 先日アメリカのFRBという、日銀の金利にあたるものが引き上げられた。中央銀行が金利を引き上げるという行為は、同時に債権さいけんやほかの取引商品の値段を下げる。

 実際アメリカの債権(株式)は一時的に下がったし、それに反応して、日本の債券相場も下がり、同時に円高にも振れた。


 だが実際アメリカの債券相場は数日前の様相を取り戻してきており、この金利引き上げは、あまり意味をなさないものに成ってしまった。

 銀行からお金を借りてをしてローンを組んでいる一般の国民にはこの金利上昇は徐々に効いていきそうだが、富裕層ふゆうそうにはあまり関係のないものなのだろう。


 なぜかというとアメリカは超が付くほどの大金持ちと、そうでないものの格差が非常に広がっている。大統領選挙でなんだかんだ言っていても、政策は一般市民に益をあたえるようなものはないし、あってもそれは一時的なものになっている。


 アメリカ民主党が企業や、金持ちにしっぽを振りはじめたころから、国民の大多数を占める「非富裕層」の人たちにとって大統領選挙は、ほとんど意味をなさないものになっている。


 話を景気の問題に戻すと、は今後大幅に後退することはないだろう。それはドルという通貨が世界を廻っていて、その総量が膨大であるために、その一部を国内に戻すだけである程度の金融問題は富裕層にとって問題でなくなる。

 物価が上がろうが、アメリカの経済の中枢を動かしている層には何の問題でもない。この場合の不利益は2つの立場の人たちに振り分けられる。


 一つは先ほども言った「富裕層でない一般国民」のひとたちである。そしてもう一方は、アメリカが投資し、負債をかかえている国になる。

 ギリシア危機はギリシアの人たちが怠惰だっかからというだけの話ではなく、ギリシアにお金を融資ゆうししていたアメリカ系の資金の急速な引き上げから起こった。


 その当時のギリシャは国債を大部分「海外に」売っていた。ここに問題があった。

海外に国債を売るというのは、お金を海外に借りているのと同じで、その価値が予想より低く見積もられれば、あっという間に売られる。これがギリシア問題の根本にあった。

 またアメリカはアルゼンチンが債務不履行さいむふりこうを起こしそうになった時にも、支払いを待つことはせずにしっかり取り立て、信託統治領であるプエルトリコですら切り捨てる。


 そして不景気になり始めると、それらの海外に置いておいた資産を引き上げるので、時刻は大丈夫だが、別の国に通貨危機が起きる。そういう形になっている。


 じつは似たようなことは第二次世界大戦前にも起こっている。敗戦国であるドイツは賠償金を戦勝国に払っていたが、世界大恐慌により、フランスや英国がブロック経済という自国の経済圏内でお金を回す方針をとった。

 すると当然、他国であるドイツの商品は買ってくれなくなり、ドイツに深刻な経済危機が起こり、それが当時の政府不信とつながり、ナチスの台頭につながる。

 英仏の第二次世界大戦の被害というのは回りまわって自分たちの行動から起きたともいえる。「」を追求していった結果がその後の大戦であり、同時に資金を引き揚げられたり、資産を凍結された国たちの暴走にならなければよいがと思う。


 しかし、そういう国々は国内に民族問題を抱えていたりするので、外に爆発するのではなく、内側で崩壊が起こりうるとも、私は思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る