第43話 日本における三審制の適応の仕方

 本日はある団体に寄付を多く行った方の親族による裁判が、結審けっしんするはずでしたが、高裁こうさいに差し戻しの判決が出ました。


 日本における「三審制」は一審の地方裁判所においては、そのつみをどのくらいのばつで責任を取らせるかが裁判員さいばんいんを含めて、審議します。

 二審である高等裁判所では、一審の判断が正しいのかと同時に、新しい証拠が提示されない限り、一審の判決が支持されます。

 問題は三審である最高裁判所においてです。ここでの判決は、その後の判例として残るのと同時に、その後に同様な裁判が起きた場合には、最高審さいこうしん(最高裁判所)の判例が適応されることになります。


 普通は、地方裁判所、高等裁判所での審査が正しいのかどうかを判断することが多く、何も新しい証言や証拠が出なかった場合。

 高等裁判所までの判断が正しいと思われる場合には、「上告棄却じょうこくききゃく」となるのですが、今回の最高裁判所の判断は、「高等裁判所に対しての審議差し戻し」という判断になりました。


 この場合は、ほとんどの場合において、高等裁判所の判断が国としての司法の判断として「適当ではない」と思われる場合に起こります。

 つまり高等裁判所の判決を国が司法府しほうふが正しくないから、審議をやり直して、別の判断を行いなさいという場合です。今回の場合だと、「その団体に多額の献金をしたことが違法ではないか?」という意味にとらえられます。


 違法というよりはその時点で献金をしていた人が「正常な判断をくだせないほどの精神状態であった」ということを言いたいのだと思います。

 ということは司法府の判断は一審、二審の判断が間違えているという判断を司法府はとったことになります。


 実はこの判断をとるとどうなるかというと、同じように別の団体に対して多額の寄付をしている場合も「違法行為」と認定される可能性が出てきたということになります。


 つまりあるものに入れ込みすぎている人間の精神状態は異常であるとも言っているというのが、今回の高裁に対する差し戻し審議の判断というのかもしれません。

 しかし同時に最高裁判所が直接「違憲」と言わなかったことからは、この場合、全ての判例に適応されるものではなく、個々の事案に対して判断していくという考え方が、今回の判断になるのでしょう。

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