第33話 危うきに近寄らず

 勝負ごとに絶対に勝つ方法はありませんが、絶対に負けない方法は存在します。そうですね、その勝負に乗らないということです。まあ身もふたもない話なんですが、ギャンブルとか、かけ事に対する必勝法なんて言うのは存在しないわけで、それがあったら、胴元はとっくに破産しています。


 競馬などの公営ギャンブルなんていうのも基本払戻金はすべての掛け金の75%くらいで、かけた時点で胴元が25%抜くというものです。

 宝くじに至っては、大体払い戻し率は10%前後と言われていまして、1等の当選確率も私の子供の頃は、250万分の1なんて言われていましたが、現在は1000万分の1と言われています。とても割に合わないと私は思います。

 「買わなければ当たらない」

というのも事実ですが、

 「買わなければ損をしない」というのも事実であると私は思います。


 例えばカジノなんていうところがあって、国もそれに対しての法整備なんて言っていますが、あれこそ胴元が安定して勝てないなら成り立ちません。

 ラスベガスなんていう都市があり、ギャンブルの都と呼ばれた時代もありますが、現状は市としては、観光にかじを切っていますし、最近では様々なスポーツのチームを保有し、その入場者による需要を考えているようです。

 アメリカ三大スポーツのうち、アメリカンフットボールとバスケットボールの本拠地でもありますし、ここにメジャー球団を誘致しようなんて話もあるようです。


 カジノの話で、カードを使ったものはディーラーの技術によって勝率が左右されそうですし、スロットマシンにおいては確率が低すぎて何とも言えないな、と思っています。

 ではルーレットはどうかというと、あれも実は賭けた時点で胴元が勝つ確率が高いように作られています。


 ルーレットは1~36までの数字と0と00の38のマス目によって構成されています。

つまり確率を出すときは分母は38になりますが、戻ってくる場合の期待値は赤と黒の2択の倍でも38分の18で大体42%になります。

 その時点で対等でないのに、ディーラーの技術によって「球が落とせる」というのがカジノにおける技術になります。

 

 では絶対に勝てないのかというとそうでもありません、絶対に勝つ方法は存在しませんが、確立を上げる方法は存在します。相手のミスを狙う方法です。


 これは相手に心理戦を仕掛ける方法であり、同時に相手の精神力を自分が上まらないと成功はしません。

 確率的にルーレットは相手側の勝つ確率が高いというのと同時に、同じスピードで回っているルーレットに同じ力で球を投げ入れると、ほぼ狙った位置に入ります。

優秀と言われる人はその確率の高い人です。

 ですがルーレットは緑色のマスである0と00を除くと、赤と黒が交互に設定されています。その為優秀なディーラーとされる人でもミスをしたときに狙っていないマスに止まることもあります。


 ルーレットのかけ方でチップを倍々に増やしていくという方法があります。これは自分が下りない限り、最後に一回勝つと収支がプラスになるのですが、このやり方は10回行っても、それ以上にプラスになる数字は最初にかけた数字と同じであり、

 例えば1回に1億なんていう単位で倍々ゲームをされたらたまったもんじゃないです。でも、単純にこれをやられて、店側の損害はいくらになるかと言えば、10回倍プッシュされても1億の損害にしかなりません。

 まあそんなゲームに何かを賭けるというのは実に割の合わない行為である。とはわしは思うのですが、そういう勝負にかける人はゼロではありません。


 人間は生命の危機にひんした場合、ドーパミンという快楽物質が脳内に生成されます。俗にいう脳内まやくなんて言われるやつです。

 これは生命が危機を強く感じた場合に精神が破壊されるのを押しとどめるもので、大事故や大きな悲しみの時に「のちの記憶がない」とか「笑っているように見えた」というのは、この物質の生成による脳の一定時間の思考停止によるものであろうとされています。ですから、穏やかな顔でなくなる人は笑っているようだった、何と言われます。


 ですからギャンブラーとかスピードに取りつかれたなんて言われる人は、おそらくこのドーパミンの中毒に近い状態なんだろうと、私は考えています。


 禁止薬物の例をとってもわかるようにそういうものは、人格を破壊していきますし、その先にあるのは破滅でしかありません。

 そうであるから、私はこういうかけ事はやらないほうがいいという判断をしている、と言えれば格好が良いのですが、身内にパチンコ中毒のような人がいたので単なる反面教師だったりします。

 自分もその傾向の強い、こだわりの強い人間なので、危うきに近寄らずという考えでいます。


 まあどちらにせよ、「かけ事はしないのが一番」というのが結論であるのには変わりはありません。

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