第32話 なんで私はイギリスでなく、英国と言っているのか

 多分、私の文章を読んだ人は、「なんでこの人はイギリスのことを『英国」って言っているだろう?」なんて思ったことはありませんでしょうか?


 それはイギリスと我々が称している国の、正式名称が違うからです。

 正式には「グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国」という名称が正しく、英国人が自国を称するときは「グレートブリテン」の略であるGB、もしくは「ユナイテッドキングダム」の略であるUKとします。


 歴史的に話すと面倒なのですが、あの国はブリテン島にあるイングランド、スコットランド、ウエールズ、そして北アイルランドの4つからなる連合国という名目になっています。

 ただロンドンを起点としたイングランドの力が強いので、他はその配下にいるという状況というのが正しいと思われます。


 英国のEU脱退時に、スコットランドの独立問題がありました。これはぎりぎり議会で否決され、何とかスコットランドはUKの一員として存在しています。


 実は同様の国がヨーロッパにはあります。「スペイン王国」です。この国はスペイン国王が国家元首とされていますが、ではなんで独立問題があるかという話になるとスペインの州にあたる存在に、元々王国と仲の良くない、対立状態にあった州なんて言うのがあります。

 

 スペインのサッカーで「クラシコ(おそらくクラシックと同じ意味で、伝統の一戦とかいう意味)のフットボール(サッカー)の試合があります。これにおいて首都であるマドリードと敵対関係にあるのがバルセロナです。

 このバルセロナという都市は、カタルーニャ州という州に属していて、言語は厳密にはカタルーニャ語を話します。最もスペイン語とポルトガル語が日本の方言に近いことと同じように、この言語もスペイン語に近い言語です。

 ただバルセロナを含むカタルーニャの経済規模は、マドリードをはるかに凌駕し、スペイン王国の主たる財源となっていますが、待遇の面では優遇はされていません。

 日本における大阪を中心とした近畿が、国から独立したがっているような状況です。最も近畿圏が独立したら「地方交付金」がなくなって成り立たなくなるんですが、バルセロナはカタルーニャ内で事がすんでしまうという側面を持っています。


 昔から言われることには、カナダにおけるケベック問題なんかと共に、じつは火種になりそうな話は昔からあります。

 この場合どういうくくりで国を維持するのが正しいのでしょうか?分裂し内戦状態になり、今を迎えている「旧ユーゴスラビア」なんて地域もありますし、何が正しいかなんて、その人の感情の持ち方次第ですぐに変わります。

 十人十色や、思想信仰の自由が憲法によって保障されている国、日本人には、このような話に口を挟まないのが一番賢い対応と言えるのでしょうね。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る