第30話 私と仕事…

 「どっちがだいじなの?」なんて言葉をドラマなんかで聞きますが、そもそもその2つを比べることは不可能です。


 例えば相手が、ケーキと動物の猫が好きだったとしましょう。この場合、最初の質問に

 「じゃああなたは、ケーキと猫どっちが好きなの?」

 問い直したとします。「そんなもん比べられない」というタイプの答えの人は、単純に、同じ論法で返されていることを理解していないだけの人です、それなりに相手をしてあげましょう。

 問題は「私の質問に答えて」とか「質問に質問で答えるな」とかいう問いの時です。この場合の相手は自分の論法が破綻しているのを理解したうえで、それを無視して答えを求めています。

 これは単なる感情論で、「自分だけにかまって欲しい」という意味になるんですが、それが出来ないから仕事という行為を行っているという、相手の事情を無視して、論理的でないことを、さも論理的であるかのように言っています。

 実はこういうタイプが一番面倒です。「私が一番」という考えを根っこに持っている人はその人が、仕事を行うときにも、感情論が仕事に混ざります。好き嫌いで対応が変わる、こういう不利益の生じるタイプになります。


 私は、「仕事は仕事、プライベートは別物」という考え方で、どんな人格であろうがその人の行動が仕事上必要である、もしくは、自分のできないことをやってくれているという意味で、ビジネスライクに事務的な付き合いをしてきました。

 問題はその態度の気に入らない人には「いやなやつ」としか見えないのでしょう。


 それに対して、プライベートで好き嫌いを言うのはよいのですが、仕事上でその感情を乗せて話されると、とても困ります。

 自分が正しいと思っている人に、正論を理論立てて説明しても、聞く耳を持たない場合が世の中には多々あります。

 それは感情論に支配されているか、正しくてもそれを認めたくないだけという発想で、会社という法的に「利益追求団体」の中にいられると、とても組織的に困ります。


 感情論で物を言われると、対応できないというのが、物事を理論立てて考える人間としては非常に困るのですが、仕事のできる感情論主義者が最も手に負えません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る