第11話 [謎の暴露やめてほしい]
情報が濃い登校を済ませ、自分の教室に入った俺たち。今思えば、なぜ一緒に行ってしまったんだろうと後悔をしている。
「透くぅん……」
「なんで黒金さんと一緒に登校してたのかなぁ?」
「俺らもそんな話せてないのに……」
「今日一緒に、お話ししようよ」
「返答次第では、テメーをぶちのめす」
「覚悟の準備をしておいてください」
「いいですねッ!」
うーん……。辞世の句を詠むか、遺言書を書くか……どちらか悩むな〜。
俺は今日クラスメイトに殺されるかもしれない。
席に座っている白銀さんも、ジトーッと俺の方を見つめているし、死ぬ確率が上がっていそうだ。
「まあまあみんな落ち着いてよ〜。何もないってば!」
そんな中、夏墨がみんなをなだめるような発言をしたのだ。
お前……いたずら好きのやつで火に油を注ぐタイプかと思っていたが、気を遣える優しい子に育ったんだなぁ! 俺嬉しくて涙が出そ――
「ハグされながら朝チュンした後朝ごはんあーんしてあげて登校中腕組みながら恥ずかしい秘密暴露し合ってただけだよっ!!」
「夏墨貴様ァアアアアア――ッッ!!!!」
「てへっ☆」
コイツとんでもねぇ爆弾を落としてきやがった!
案の定、クラスメイトの男たちは嫉妬に狂った鬼の形相になって俺を睨んでいる。
白銀さんの方を見ると、ふぐみたいにプクーッと頬を膨らませてこちらを睨んでいる。
あれ、なんか思っていた反応と違くてなんか可愛い……ってんなこと思ってる場合邪魔ねぇ!
「それ、リアリー?」
「え、えっとぉ……」
と、とりあえず嘘をついてでも誤魔化すしかないか……。
「ウソついてたら海に沈めるぜよ」
うわぁ、終わった。
「ち、違うんだ。誤解っていうかなんというか……。色々ありすぎて説明むずっ。夏墨も一緒に弁解してくれよ!」
「え? だって事実じゃん」
「事実……だけどさぁ! 色々と誤解されてるとこがあんだろうが!! ……あっ」
『事実』……俺は今、自分の口から事実と言ってしまった。
ギギギと首を動かし、殺意が孕んでいる視線に顔を向けた。みんな、笑顔。だけど、殺意増し増し☆
「さ〜て、と」
「解放するかァ」
「言い残す言葉も言わせねぇよ」
「拳が疼くぜ……†」
悪ぃ、俺死んだ。
絶望一色に染まったその時であった。
「静かにしてください」
凛とした声が教室に響くと、一気に静寂に包まれた。
声の主は白銀さんであった。
「一緒に寝てご飯を食べたりしたからなんだと言うのですか?」
おお、流石白銀さん。クラスメイトとは違って冷静な判断をしているッ、そこに痺れる、憧れるゥ!
俺が尊敬は尊敬の眼差しを送っていた。送っていたのが……。
「私は透くんにお姫様抱っこされたり壁ドンされたことありますけどねっ!!」
「…………え?」
な、なぜ今暴露をしたんだ白銀さん……。もっとヘイトが集まっちまうじゃねぇかぁあ!!
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