第8話 [顔面蒼白にしないでほしい]
バイトから帰り、真っ暗な部屋の電気をつけてソファにどかっと座る。
「明日も学校あるし、今日は早めに寝ときますか」
簡単な料理を作って食べ、シャワーを浴びて布団に入る。
「(明日は白銀さんと話しをして、仲直りをするとしよう。……いや、本当に怒っているのか? まあ明日聞けばいいか……)」
てっきり夏墨が隣から襲撃するかと思っていたが、流石に夜には来ないみたいだな。昔だったら余裕でしていたが、成長したのか。
少しだけ笑い、俺はそのまま瞼を落として眠りについた――。
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――ガラガラガラ……
「やっほー透! 夏墨ちゃんが遊びにきた……って、あれ? もう暗い」
夜。
ピンクと白のシマシマパジャマのあたしの姿を見せてあげようと思っていたのに。
「しかもま〜たベランダ開いてたよ。透は昔っからおっちょこちょいだな〜。そこが可愛いけど」
透を探して数千里。寝室で透を発見した。
「すー……すー……」
「にひひ……。安心しきった顔で寝ちまっておるの〜。イタズラしてやろうか」
透に近づき、透の顔に手をを近づけたその瞬間、
――グイッ
「え」
突然腕を引っ張られ、ベッドに引きずり込まれる。そしてなんと、抱きつかれた。
「(ふわぁあああ!! どどどどうしよう! 引き摺り込まれちゃった!!)」
「すー……すー……」
「(ね、寝てる!! 可愛い!!! 心臓が破裂しそう!!!!)」
バックバックとすごい勢いで鼓動する心臓。顔も真っ赤で今にも日が吹きそうだった。
そういえば透、昔から抱き枕がないと眠れない体質だった……。あたしを抱き枕だと思ってるってことかな? 昔もこんなことがあった気がする。
「ぅ〜……。幸せすぎて死にそう。で、出ないと……でもこのままいたいよぉ……」
悩みに悩んだ結果……あたしは諦めた!
「えへ♡ えへへ♡ 透の匂いすきぃ♡」
昔はよく一緒に寝てたなぁ。懐かしいなぁ。
幸せに包まれながら、あたしはいつのまにか意識を手放していた。
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「ん、うーん……?」
なんだかいつもより暑い……。俺の愛用している抱き枕はこんなにも熱くなかったはずなんだが……。
ゆっくりと眼を覚ますと、そこにはすーすーといびきを立てて眠っている
「ぇ……」
俺はサーッと顔から血が引いて、顔面蒼白になる感覚がした。
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