3度目の正直!?2度あることは3度ある?どっち?
「恐ろしくなってきた、3度目の正直ってあるのか」
僕は絶望してきた。
目的はスライム。「倒せば次の日に…」この言葉に取り憑かれていた。
「最近ニュース見るの嫌になって来たよ」
「わかる!!救える命があるかもって思うと本当嫌だよね」
いつもの河川敷でスライムを待ちながら愚痴を言いあう。
ああー。本当、『スライムを待ちながら』って曲を作りたい。BGMにしたい。
「ところで、ミキちゃんさ、あの男の子とどうなった?」
「もう面倒で、さよなら言わなかった。黒崎君テストは?」
「中途半端に98点だった。もういいやゲームはしばらく」
「え?ゲームとなんか関係あるの?」
「いやいやいやこっちの話」
「キタキタ!!スライム三兄弟」
サキちゃんのネーミングセンスはさておき
「今度こそ!!」
もうこの手しかない!!と考えた策だ。
ミキちゃんが火を放つ。スライムはあっけなく消えた。
なにこれ5秒くらいで消えたわ。
こんなのある?
これ物語成立してる?大丈夫か。
でも…これで、戻れるかな。
うん。きっと戻れる。
僕は安堵した。早く7月8日に行きたい。
パパが尊敬する三谷幸喜の誕生日を祝ってあげたい気分!!
7月8日の花、カンパニュラの花言葉は「感謝」
ああーやっと、この日。
感謝します。神様!!
でもまた、目の前がグラグラっと揺れて、
また同じ朝を迎えたのだ。
さすがに絶望した…。ママとパパの空港券のくだりには口を挟まなかった。健太は階段で転んだし、ママは卵を床に落とした。
ミキちゃんはさすがにイライラしていた。
僕たちは何度目かのカルピスを飲みながら歩いている。
僕は持論を唱えた。
「話が逸れまくってんだよ。テストで100点取れなかったらゲーム没収される。だから戻りたいって思ってたのに、なにこれ、スライムを倒すことしか考えてない。おかしくない?俺ら目的がおかしくなってるんだよ」
「ふーんなるほどね。ゲーム没収だったんだ」
ミキちゃんが口を尖らせちょっと笑った。今の状況では救いだ。
そして、投げやりになりながら艶やかな唇を動かす。
「私さ、転校する隣に住む男の子っていう、ありがちなシチュエーションに酔ってただけかも」
「そんなこと言わないでよ、目的を果たそう!!僕は、体づくりと並行して勉強もする。ミキちゃんはさ、しっかり気持ち伝えて、両思いに・・・」
「うん、でもさ、本当に、戻りたいって気持ちって、なんだったんだろってくらいどうでもよくなってきた。彼、ちょっと自分に酔ってるポエマーだし、たくましさに欠けるって言うか・・・」
ミキちゃんは空を見上げて言う。
「それじゃ困るんだよ。このまま離れたくなかったんでしょ?」
みるみるうちにミキちゃんの顔色が変わる。
「ね、黒崎くんてさ、私のこと好きなんじゃないの?」
「それはそうだけど、今はそれどころじゃない!!」
なにこの最悪の展開!!
こんな告白ありえない。
「何、そのいい方!!!」
ミキちゃんは怒りがおさまらず、続ける。
「だいたいさ、わたしたちの戻りたい理由がくだらなすぎて…本当バカバカしいよ!!真剣に向き合うとかおかしな話じゃない?もっと戻るべき人、戻りたい人が世の中たくさん
いるのに!!そもそも気持ちがない恋に向き合わないといけないっておかしいでしょ!!」
初めてのケンカは、もはや意味不明だった。
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