ありがちパターンから逸脱
結局、テストは77点だった。
この数日。いろんな危機を無意識に救ってしまった。健太が階段から転ぶのを阻止し、ママが卵を床にぶちまけるのも阻止し…。
なんだか未来がわかっているって疲れる。
わかってて何もしないのも気持ち悪いからね。
そして、あの時と同じように、河川敷に座っていたら、サキちゃんが現れた。
聞こうとして、聞かなかった、教室でも話しかけようとして、何度どもやめたこの言葉…。
「ねえ、もしかして、」
「僕たち」「私たち」
「繰り返してる?」
って映画のパクリみたいなセリフになってひとしきり笑った。
「せめて体も入れ替わってたら面白いのに」
「ちょやだ、黒崎君変態!?」
という会話になり、あの映画の話で無駄に盛り上がってしまった。
結局、サキちゃんは、隣の男の子にお別れを伝えられたけど、その後ケンカになったらしい。
「…なんでケンカになったの?」
「『さよなら』って言ったら、『さよならなのかよ!』って…」
「…それさぁ。彼もサキちゃんに好きだってことを伝えたかったんじゃないの?『さよならなんて言うな!』ってことじゃない?」
「え?そうなの?私わかんなかった」
「えっヤバ」
僕は思わず心の声が出た。
「…僕に言われて気がづくようじゃ、やばいよ」
「そっか〜やばいかー私って意外に心読めないんだな…ショック…」
サキちゃんは言いづらそうに切り出した。
「でもさ…結局私たち、また戻るのかな7月1日、あの朝に」
沈黙に耐えられず道を振り返ってみると、向こうから、スライムを三つ重ねた団子が歩いてきた。
えっスライム団子?これもしかして戦うの?
ありがち恋愛青春物語パターンからはずれてしまって、まさかの戦闘物語がはじまる。
僕に謎の緊張感が走った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます