ありがちパターンから逸脱

結局、テストは77点だった。


この数日。いろんな危機を無意識に救ってしまった。健太が階段から転ぶのを阻止し、ママが卵を床にぶちまけるのも阻止し…。


なんだか未来がわかっているって疲れる。

わかってて何もしないのも気持ち悪いからね。


そして、あの時と同じように、河川敷に座っていたら、サキちゃんが現れた。

聞こうとして、聞かなかった、教室でも話しかけようとして、何度どもやめたこの言葉…。


「ねえ、もしかして、」

「僕たち」「私たち」


「繰り返してる?」


って映画のパクリみたいなセリフになってひとしきり笑った。


「せめて体も入れ替わってたら面白いのに」

「ちょやだ、黒崎君変態!?」


という会話になり、あの映画の話で無駄に盛り上がってしまった。


結局、サキちゃんは、隣の男の子にお別れを伝えられたけど、その後ケンカになったらしい。


「…なんでケンカになったの?」


「『さよなら』って言ったら、『さよならなのかよ!』って…」


「…それさぁ。彼もサキちゃんに好きだってことを伝えたかったんじゃないの?『さよならなんて言うな!』ってことじゃない?」


「え?そうなの?私わかんなかった」


「えっヤバ」


僕は思わず心の声が出た。

「…僕に言われて気がづくようじゃ、やばいよ」


「そっか〜やばいかー私って意外に心読めないんだな…ショック…」


サキちゃんは言いづらそうに切り出した。



「でもさ…結局私たち、また戻るのかな7月1日、あの朝に」


沈黙に耐えられず道を振り返ってみると、向こうから、スライムを三つ重ねた団子が歩いてきた。


えっスライム団子?これもしかして戦うの?



ありがち恋愛青春物語パターンからはずれてしまって、まさかの戦闘物語がはじまる。



僕に謎の緊張感が走った。

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