どうせ何回かループするんだろ

「なんだ夢か」とぼーっとした頭と、思いふらついた足で、朝を迎える。


すると、パパがバタバタと用意している音が聞こえる。

「何でギリギリなのよいつもっ!!」ママの声に既成感…。


「あれまた出張?行ったばかりなのに」


「は?何行ってんだ、3年ぶりの出張だよ」


僕はテレビをぼーっと見つめる。左上には7月3日、月曜日の表示…いやまさかな。


パンを咀嚼して喉を抜けると、反射的に声が出る。


「…チケット探してるなら、グレーの背広のポケットみて?」


あの時、ママが鬼の形相で見つけた飛行機のチケットが眠る場所を恐る恐る言ってみた。


「おまっ!!天才!!天才かよ!!ありがとーううう!!」


パパは僕を羨望の眼差しで見ていた。

ママは心底呆れていた。パパの「ないない!!」が始ればママの機嫌は悪くなる。


そんなことを思いながらふと見ると、テレビの横の定位置にゲーム機がある。


…捨てられていない!!


「俺はテストをやり直して人生をやり直せる!!」


なんて…喜ぶわけない。不安でしかない。


ハムエッグをもつ手が震えてきた。


元に戻れない、ループする物語を何度見てきたと思ってるんだ。


そうなんだろう。きっと。何かが原因で、きっとすんなりは未来には行かない。

 

ありがちな展開を僕はまんまと見抜いている。  


だから…






とりあえず…うんとりあえず…





様子をみよ。



どうせ何回かはループするんだから。

7月3日〜7日を適当に過ごして、繰り返そう。


僕は同じ点数をとる。77点でいいじゃないか。勉強しなければ、この点数だ。


帰ってから勉強…なんかしないで、とりあえずゲームで気を紛らわせよう。そう決意し、牛乳を一気に流し込んだ。

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