第3話
いつ消えてしまうかわからない。だから、まず、カゲだけでも残す方法を考えた。現実の世界に行く方法を知らないと。カゲは知ってそうだ。でもなぜ?僕は、もう一度聞いてみた。
「カゲはここで何をやってるの?」
「それは。」
カゲは言葉に詰まっていた。どこまで、この少年に教えていいものか。彷徨う空間の先導者。それは、生へも死へも導ける。本人の希望次第で大きく変わるものの、一つだけ条件がある。"死にたいとは思ってはならない"本人に生きる意思がなくなった時、生きることも、死ぬこともできずに、消える。一度目は、先導者の判断。二度目は、完全に消えてしまう。それは、世界中から少年の存在が消えるということ。誰の記憶にも残らない。少年は危ない。気が弱すぎる。色々考えていることも、先導者である私には聞こえている、ゆらゆら、ずーと感情が揺れ動いている。淡い青色の心。悲しみが大きいみたいだ。そして、少年は勘違いをしている。私は、彼の命ではない。ただの先導者だ。君が消えるときに、私も消えるのは一緒だけど。しかし、どうしても彼を生へ導きたい。だから、
「それは、君の、命。」
「_命?」
「なんと言えば、その、魂みたいなもの。」
「じゃぁ、やっぱり、僕が死んだら、君も消えちゃうの?」
「いや、死ぬのはこっちが先だ。この中に、火の明かりが灯ってて、それが消えたら、まもなく君も、消えてしまう。」
僕も言葉に詰まった。どうすれば良いのかわからない。何を言ったらいいのかわからない。聞いておいて、どうすればいい。。なんて言えばいい。あ、
「どうしたら、戻れる?生に。」
「それは、君が挑戦するしかない。本当はここまで言うつもりもなかったけれど、なんだか、その目を見たら、言いたくなって。実に賢い君に言うのは面白い。ルールは簡単さ。自分のいる病院まで、これを使っていくこと。」
「簡単だね。」
僕は、差し出された切符のようなものを見て言った。しかし、まだ、ルール説明は続いていた。
「使えるのは一度だけ、行く時、帰る時どちらかしか使えない。残りは、こっちの先にある地図みたいなのを使って、0:00前までに戻ってくること。もし、すぎたら、その時に完全に亡くなってしまう。戻ってこれたら、次の日には、しっかり生きられるよ。」
「___。」
僕は何も言えなくなった。挑戦するか迷う。じゃ、挑戦しなかったらどうなるんだろう?
「その挑戦を拒んだらどうなるの?」
「それは、君の意思によって変わってくる。長くて4日だけど。」
「どういうこと?」
「何もしないなら、この空間にいれるのも残り4日。空間が歪んだり、溶け始めたら、、、死を意識したほうがいい。4日もたないことのほうが多いからね。」
助かるためには、君の意思が必要だ。未だ4日成功した人は見たことがない。しかも、空間はすでに歪み始めている。気づけてないから、だいぶまずいんだ。これじゃ、死んでも私のようになれない。大抵、4日も経たず消えてしまう。よっぽど傲慢だからだ。真っ白な空間。何もなし。食べなくてもお腹は空かないから、食料もない。何より、周りに人はいない。心がもたないんだ。私も、そうやって消えってったから。何もなくて。
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