第2話

 しばらく眠っていたみたい。まさか、もう一度起きる感覚を味わえるなんて思ってもいなかった。でもすぐに、異変に気づいた。空気がものすごく薄い。カゲの姿が見当たらない。探してみると…。見つけた。辛そうにしている。声をかけても返事をしない。僕は、今までの経験から考えた。カゲは僕の心臓だ。全てが僕の体調と同じタイミングに変化している。心臓にも精神が生まれている。僕に対して、すごい辛い時も、そんなそぶりは見せなかった。でも、考えてみると、僕の体調が悪くなった時は、彼の顔が一瞬くもっていた。てっきり、人の弱い姿を見るのが苦手なだけかと思っていたけれどもそういうことではなさそうだ。僕が死ぬ。それは、彼も死ぬのだ。とても変な話だ。でも、精神がある今、そして、初めて話した時もたくさん楽しませてくれた優しいカゲを僕は置いていけない。そんな気持ちになってしまった。生死を彷徨わなければ、きっとカゲとは会えなくなる。

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