第5話
「ママ、これ」
マリが帯封のついた札束をそのままクルミに
手渡した。
「なっ、なに、これ」
クルミは何か恐ろしいものでも見るような
目で札束を見た。
「300万あるわ。とりあえず受け取って」
「受け取ってってオマエ」
札束を握ったクルミの手は震えていた。
「ほんの300万ぽっちよ、これから
もっと稼いで」
パシン!頬を打つ乾いた音が部屋中に
響いた。
「バカ。オマエが体を売ったそんなお金、わたしが
喜ぶとでも思っているのかい」
クルミは小刻みに全身を震わせていた。
「安心して、ママ。わたしまだバージンよ」
「えっ、でっ、でも」
「そう簡単に300万程度でバージンは
捨てないわよ」
マリがそう言い放った。
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