第3話

「ママ、わたし」

「なに」

「デリヘル嬢になる決心をしたの」

「デっ、デリヘル」

クルミが口から泡を吹いて卒倒した。

「ママ、ママ」

マリがクルミを抱き起そうとした。

「だっ、大丈夫、わたしは大丈夫だけど」

「なに」

「おまえ、デリヘルで働くってことが

どういうことなのかわかってるのかい」

「うん、覚悟はできてる。抜群にお給料もいいんだ」

「そう」

ユラリと立ち上がったクルミには生気が

感じられなかった。

「いい、クルミ、椛島(かばしま)さんにはこのことは

黙っておくんだよ」

「うん、わかった」

椛島というのはクルミの婚約者で幼馴染だった。

「それじゃあ、わたしはちょっと休みます」

クルミが寝室に向かった。

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