第7話 目覚めの朝
「うっ・・・・、うう・・・」
早朝、森の中の崖の上。
うんこの姿をした勇者が頭を抱えながらゆっくりと起き上がる。
「ん・・・?ここは・・・?
!!そうだ、確か俺は、うんこのモンスターと一緒に崖から落ちて、
それで・・・」
うんこはキョロキョロと辺りを見回すも、誰の姿も無い。
崖の下にいたはずなのに、何故か崖の上にいる。
その事に疑問を抱きながらも、うんこがつぶやく。
「キャロライン・・・、先にみんなの所に戻ったのか・・・?
って、何か目線が低いような・・・・」
うんこは立ち上がって背伸びをするも、
目線の高さは変わらず、頭の中に?マークが浮かび上がる。
「俺・・・ちゃんと立ってるよな・・・?」
うんこはふと自分の足元を見た。
「っ・・・・・・・・」
勇者の足は、先のとがった茶色いブーツではなく、
茶色い小さな足に変わっていた。
自分を勇者だと信じてやまないうんこは、両手を目の高さに上げ、
まじまじとそれを見つめた。
茶色い足と同様、両手が茶色くなっている。
うんこはパニック状態になりながらも、
自分の姿を確認する為、近くの水たまりに顔を近づける。
ゆらゆらと揺れる水面には、うんこのような姿のモンスターが
浮かび上がっていた。
「あ・・・・・、ああ・・・・そんな・・・・・」
信じられない自分の姿を目撃し、うんこになった勇者は絶叫する。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
うんこはもう一度確認するように、水たまりの水面を見る。
さっきと同じ光景が、コバルトブルーの瞳の中へと映し出された。
「うああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
うんこは地面に頭を打ち付けながら絶叫した。
「夢だ!これは夢だ!!!そうに違いない!!!
俺は勇者であって、うんこではない!こんなの間違っている!!!」
目の前の現実を否定するように、うんこは自問自答をする。
「俺がうんこの姿ということは、うんこは俺の姿になってるってことか?
いや、もしかしたら、あいつが魔法をかけて、俺をうんこの姿にしたとか・・・。
そうだとしたら、皆はここにいるはずだ・・・、俺を置いていくなんてありえない。
って事は、やっぱり入れ替わって・・・」
うんこは一生懸命、考えをめぐらせ、ある結論にたどりつく。
「あいつが俺の姿になっているなら、
俺のフリをして皆を連れて行ったのかもしれない・・・!」
うんこは拳を強く握りしめ、下唇を噛んだ。
「一晩たってるとはいえ、まだ遠くへは行っていないはずだ。
まだ間に合う・・・早く追いかけないと・・・!」
うんこは小さくなった手足を必死に振りながら、
全力疾走で森の中へと入っていった。
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