裏話

【大図書館のシーン】

<初期案>

教室

備品課:試験に持っていく道具を申請するため向かう

(書庫):行先の地図を確認しようと思っていた。

書庫への移動途中、本を積んだワゴンか水晶玉に追突されるか、爆発騒ぎに巻き込まれて飛ばされることにしようかと思いましたが、長くなったので切りました。

<入れるつもりだった説明文>

『開放的な白砂と蒼の丸屋根で作られていた建物がぐにゃりと歪み、赤茶けた煉瓦と毛足の長い絨毯が続く廊下が現れる』


【禁書世界へ】

<初期案>

意識が本/水晶に引きずり込まれる

炎と灰の中を落下:空中に飛ばされたとトラベル察知

水晶の層(分厚い雲)を突き抜ける

パラシュートに変形した制服で雷雲へ突っ込む

森の民に保護される


の流れにしようと思っていましたが、トラベルの口が思った以上に悪くなってしまったので、没になりました。

<入れようと思っていた文>

『意識と体とが( 物体 )に引きずり込まれる。

 炎と灰とを通り抜け、風にもまれながら落下する。制服の長いローブが音を立てて広がる。腕を交差して頭を守るが、荷物袋が跳ねては強かに頭頂部を打った。水晶の層を突き抜ける。少しでも衝撃を押さえようと体を開けば、熱風が頬を焙(あぶ)る。大図書館の制服でなければ、全身酷い火傷をしていただろう。

 眼下に広がるのは、歪に固定された記録の島。僅かに残る記録のみで編み直された、もうどこにもない文明である。

「衝撃、準備!」

 やけくそになって叫べば、制服がトラベルの危機に応じて柔らかく広がる。即席のパラシュートに変わった制服で減速しながら、着地可能な土地を探す。燃える記録の上に立つ一人と、雷に囲まれた記録の一人が似た姿勢でトラベルを見上げていた。燃える記録の方は、興味を失くした風に視線を逸らす。雷の方は制服の紋を見て、無表情に微かな笑みを浮かべた』


【トラベルの感じた“気配”】

最初のやり取りで「気配が電球みたい」とトラベルが言いましたが、あれはトラベル自身の不安定さも原因の一つです。

①存在喪失者(=存在を証明できる何かを持たない不安定な存在)

②渡航禁止の禁書世界(=世界から『なかったこと』にされるほどのものがある不安定な世界)

=ネガティブな結果を想像させる言葉一つで消えかねない存在。

にトラベル自身がなっていました。なので、消えかけの気配の中には、単に移動しただけだったけど移動中トラベルが薄くなっていたため、消えたように感じた気配もありました。


【手紙】

カルヴィア氏が内容を確認して「この文は送ろうとしたら、九割九分燃え尽きます」を伝えていました。

トラベルから教師へのお礼の言葉は文字数オーバーにつき、削除しました。

『名づけの儀』を見た感想が書けなかったのは『集落に新たに迎え入れられる子』が本来、とっくに祖霊に還っていたからです。

儀式の矛盾で『禁書世界』が崩壊したり、定義が崩れてトラベルが消えるのを防ぐためにに、手紙の後半は森の民がひっそり燃やしました。

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