炎の壁に空いた穴

「んーと、大体この位置。ほい、結界よーい」

「了解です。」

二人のヒトが平原に立っていた...。

一人は女性、もう一人は少年....らしい

一人の少年が元から4分の1に破った

第2類魔法書物の1ページを地面に置く。

「行きマース」

と、次に女性は、

頬当ての無い...所謂いわゆるソードオフ化された、

一挺の少し奇抜な散弾銃ショットガンを構えた。



 少し前。

{コノ先地雷原、通リタカバ左へ回レ}

「地雷原ねぇ...」

「どうしますか?」

と汚い木製の看板を前に

2人の旅人が足止めを食って居た。

1人は銀髪の髪を揺らす少女。

もう1人は黒髪短髪の少女

「むっ」

黒髪短髪の少年。

「どうした?」

「いや...左の方行きますか。」

2人はその等間隔に

置かれた看板に沿って行き、

やがてその野原に突っ込んだ建物が、

目に映り込んできた。

「げ...関所じゃないですか。」

「あちゃー金取られんぞ金〜」

聞いてみると案の定金を取られるようだ。

「質問でーす!」

『なんだ?』

「強行突破ならただですか〜?」

『な、何言ってんだ??』

「だからぁ、地雷原突っ切ればただですかと」

『んんん...?ま、まぁ...ふんッやれるもんならやってみな!!この地雷原はなァ、このあたりの国が昔昔に山から山までばっらばらと撒いた、1度も破られてない鉄壁だぞ!本当に行けるかな?』

「まぁはい、いってきまーす」


 ずがぁーん

銃身から飛び出した弾は

さらに細かく飛び散り大地に触れる。

そして切った2週間後に

もう一度切った爪ほどの

欠片に着いた紙片が

俄に炎を噴いた。

するとソレに反応した

熱反応式魔力地雷が誘爆。

2人の眼前には無数の大きな爆炎の山が現れた

「ビンゴっと...3,2,1...いま!」

「はいっ!」

雷が広がるように結界が宙を這う。

張ってコンマ数秒後に爆風が襲う。

爆風が通りすぎると同時に結界は崩れ、

エネルギーの花吹雪が舞う。

「1発で仕組み当てられたな!今日はなんかいいことあるかな?」

「まぁ、次行きましょうか。」

「はいはい」

散弾銃の持ち手グリップ下にピッタリと付いた、

もう一つの持ち手の様な部位、レバーを....

ガシャっと前に引き出し、優しく戻す。

その薬室に再び弾を込める...

美しい程に連鎖した機構で銃は息継ぎをする。

吐き出すように....

づがぁーん...!

対岸にある看板まで続け、

2人は退避させていた小さな車に乗り込むと

たかたか言わせて去っていった。


 別の日。

「えぇ...地雷原ですかぁ...んんーどれどれ...?回りたか左に?」

ぐぬぬ...と眼鏡をかけた

少女の足(2輪型古代異装)が止まる。

「行くしかないかのう…」

ぐるうるるるるるる...と

小さな車体から音を出しながら走っていくと。

「ありゃ!なんてことだしょ!めちゃくちゃ掘り返された道があるじゃねぇどすかぁ!あっしはなぁんてラッキーじゃい!通っていいのかなぁ!通っていいのかなぁ!」

わくわくしながらその少女は、

その端まで繋がる地雷原に

開いた一筋の穴を走って行った。

小さいタイヤは意外にも滑る事は無かった...


 また別の日。

るるるるかっかっかるるるる......

四輪型古代異装が

看板を前に止まっていた。

きしきし言っている助手席に座り

大きな布にくるまっている少女が

「どうしたの?」と首を傾げる。

「うーん...これはめんどくさいな...」

と運転している、

青色の盗賊のような服を着た少女が答える。

「殺す...?」

「......その必要は無いが...」

水の入った缶を弾くような音を

定期的に立てながら、

その車は看板沿いを進んで行った。

「....おっと」

ふっ、と運転ヌシが笑うと。

「いいこと、あった?」

と助手席から声がする。

「勿論.......!」

グイッと地雷原側に曲がると、

露出した土が踏み固められ、

ちょっとした道に成り代わった

その地雷原の穴を進んで行った。

この2人が来る以前、

そして眼鏡の少女が来た後日に

旅団や旅商人が通り、

様々な車両型古代異装が通り、

この穴ははっきりとした道に成った。

関所の主はてっきり金が入らなくなり、

マズイマズイと困り果てたが、

関所に喫茶店を開き、割と成功したのを...

この穴を渡った者が知る事はなかった。

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