イカれた魔女との国

 すばっ!!

コンマ1秒も経たずに....

「おお!城壁!」

一番に声を上げたのは銀の髪の女...

彼女の名はシュネー...旅人だ。

『無事到着ですね!ほかのヒトがビックリしないように城門とはちょっと違うところに飛びました!』

...と、まだ名を名乗っていない魔女...

恐らく旅人なのだろう。

「はわああああああ......。」

あとオーバーヒートしてる少年。

彼も、モチのロンで旅人だ。

師匠は抱いていた白いドラゴンを放つと、

直ぐに羽ばたき上がる。

そのドラゴンはなんだか楽しそうだ...

『なにを...そんな発熱してるんです?この人』

「知らん、ファネよ....ひっぱたいてやれ」

ドラゴンの名はファネと言った。

ファネは、カツカツ!と嘴を鳴らし....

尻尾で彼の頬を叩くと、目を覚まさせる。

「ふぁっ!?.....あ、ファネ。」

「あ、ファネ...じゃないよ、行くぞー」

『アハハハ....面白いね〜君』

「むぅ....。あ、そういえば...ガス欠なんですよ?」

「良し押すぞぅ!」

「ハハハハ....。」


 そして無事入国。

石造りのタイルで作られた舗装路、

石造りの建築物達....

石の切り出しが盛んな国な様だ......。

「あ、少年、燃料買って来てや....この前の貸しでサ」

「あー....はい....頑張ります...。」

ファネは嘴を鳴らして、

「頑張れ」とでも言っているようだった。


 たつたつたつたつ....

「意外と広いな....。」

『そうですね....』

「ふぁえっ!?」

このヒトずっと驚いてんな。

「なんでアナタが?」

『ついてきてるだけですよぅ』

そう、突如現れたのは例の魔女...

「....なんて呼べば....。」

『なーんでも....』

「名前は?」

『それ聞いちゃう?もしかして脈アリ?』

「えぇ.....。」

男性から女性の名前を聞く...

一種の心理学で脈アリを指すとも...。

まぁ、この時のルアに下心などは全く無いが...

で、思い出す...

師匠は基本、少年呼びである。

意地でも...だ。

偶にボロを出すが....

これはプライバシー保護のためである。

「....うーん...いや、まだいいです....。」

『はいはーい』

さて、燃料とは言ったが...

この世界ガソリンという物が普及していない。

何故なら車を使う人がそもそも少ないからだ...

なので入手先はGUILD直属の物資店、

しくは物好きな売店だけだ....。

売れる人にしか売れない為、高い所は高い。

余裕を持って金を持って行っている。

今襲われたら旅が苦しくなるだろうな...

...と思いながら、ルアは目的地へ到着。

「すいません...このタンク満タンで...」

『はいよ....、金貨10枚ね』

「うぐ.....ギリギリ....。」

『あの....』キラリと光るブローチを見せる。

『なんだい?.......こ、これは!?....ま、魔女.....。協会には贔屓ひいきにして貰ってるからね...安くしておくよ坊や、金貨1枚でいいぞ』

安くなった。

『ありがとうございました〜、』

店を出る...

「なんか...すみません...。」

『いいのいいの...金欠の気持ち良く分かるよ』

「ハハハハ....はぁ。」


 そうして近道しようとして、路地を通った時。

『おい...てめえら...此処は俺らのテリトリーだ...』

3,4人の男達が前後ろに現れる。

「あ.....すみません。帰ります...。」

『何言ってんだ?お前はもう入ってるんだよ...置いてけるもん置いてけ...』

「........。」

貨幣入れとガソリンの入ったタンク....を

地面にゆっくりとルアは下ろす....前に

『下ろさなくていいじゃんさ』

魔女はそう口にする...。

『ああん!?へっ...いいぜ?魔法でなんとかなるってんなら...』

チャキ!...カチっ!

『やってみな!』ずがぁあん!

男は発砲、放たれた弾は.......タンクに直撃!

「あぁっ!!」

『離さないで?』

「.....はい。」

魔女は男達...の内の拳銃持ちを睨んだ。

深呼吸をし...

『やっちゃいますわ!』


 EXT



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