ガス欠

 たたたたたたたたたた....どるっ...。

クリーム色の鋼のポニーは唸って止まった。

「はい!ガス欠!」

そう高らかに声を上げるは、

窮屈な運転席に座る銀の髪の女性.....

瞳はパステルピンク、猫の様に細い瞳孔、

彼女の名はシュネー.....旅人だ。

「まじですか。」

何故こうなったか大体理解していた風に、

そんな事を言う黒髪の少年.......

瞳は青めなターコイズブルー、瞳孔は瞳孔。

少年ル「あれ....」「なん?」「いや....」

....少年ルアはテントの垂れを捲し上げる。

そして止まったのを確認し降りる....。

「コレあれですよね...押すんすよね。」

「そうじゃーん?国は目前(地平線の向こう)だからサ...頑張ろっかね」

こういう時、この古代異装掘り出し物の軽いボディが、

素晴らしく貢献してくれる....。

押すのはシュネー...

ルアは足でまといなので前を歩いて前方確認。

「うわー....何もしてない感じが...キツいですよ...。昨日も無理に走らせてしまったですし....。」

「いいのいいの....貸しで....」

「げぇ。」

よって雨の日のパシリが決定した...

が、それはまた別の話....。

「お、おはよう」

ぴょこ.....と

テントの襖から顔を出しているのは、

白い小さなドラゴンのファネだ。

カツカツ...と嘴を鳴らすと、

シュネーの銀の頭に飛び乗る....。

「どーしたー?」

「邪魔しちゃダメですよぅ...。」

ファネは飛び上がると、ルアの方へ...

「あ〜ファネ〜」

急旋回すると再び、シュネーへ....

「あっ、ファネったら....。」

またUターンでルアの方へ....

それを繰り返しながらゆるり進む、

滑稽な姿の不思議な旅人達の上を......

ヒュンっ!

一筋の影が通り過ぎた...。

「おぉ...速いねぇ」

「アレは....箒?....じゃあ魔法使い...ですか?」

「いや、箒で移動しているのを見ると....魔道士以上だな...」

と、思ったもつかの間...箒乗りは戻って来た....。


 魔法協会では、魔法を使う者を

大まかに5段階に分けて選別している。

選別と言っても、自由に受ける試験である。

見習い、魔法使い、魔道士、

魔法師........そして魔女。

資格のランクを上げるに連れて、

許可される物が増えていく...

魔法を教える事を仕事に出来たり、

占いで稼げる様になったり.....。

そして先に述べた魔道士からは、

箒での他国間の移動が認められる....。

つまりライセンスも兼ねているのだ。

国と国の間に使わなければ、

一応魔法使いの段階で街乗りは許されるが...

先程の箒乗りとは国と国の間で出会ったのだ。

従って、魔道士以上の実力である。

ちなみにだが、魔道士から兵士に成れる....


「少年....車の運転席に」

「分かりました...。」

2人で小声で...というか口パクで話す。

ピリついた雰囲気ムードに、

ファネは2人の頭上をグルグル旋回する。

何故警戒しているか...

魔道士は、兵士に成れる......そして、

箒に乗るそのライセンスをどこから貰うか...

そう、魔法協会だ....。

GUILDギルドの決めた監視級という枠組み、

それに関して、協会側が要注意と言えば....

やはり魔法協会からも刺客が出る事もある。

シュネーは、魔力が効かないという体質...

そのせいで監視級認定されている...。

GUILDが従わせれば、仲の悪い魔法協会に、

かなりの圧となるだろう....。

よって、そんなシュネーは当然ながら、

協会側からすれば排除対象...最大の脅威。

この魔道士がもしも、

協会側の息がかかっている者ならば...

攻撃する、上司に知らせる.....

そんな事を何かしら行うだろう。

その箒乗りは、箒に跨ったまま上空で静止、

シュネーは睨むなどせず...心で警戒する。

決して目は離さない...。

箒乗りは口を開く...それは呪文か?威嚇か?

答えは......


EXT






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