レンズキャップ

 たたたたたたたたた......

今日は快調に飛ばしていく鋼のポニー....。

クリーム色に赤いラインが映える古代異装掘り出し物

それを運転するのは真っ直ぐ下ろした銀の髪

パステルピンクの瞳に猫の様に細い瞳孔。

彼女の名はシュネー...旅人だ。

「調子どう?」

「そこそこです。」

シュネーの質問にそう返すのは...

黒髪にターコイズブルーの少年...

「あれ。」「なん?」「いや...。」

彼、少年ルアは...荷台のテントで座る。

少し前にボコスカにされ、治療を受けたが...

それでも痛みが残り、安静にしろと言われた。

だから運転はシュネーなのだ。

性格から、今まで彼女に運転させるのは、

若干の躊躇いが頭にあったのだが....

意外にも安定した走りをさせる....。

同じ車を今の今まで一回も見た事はない、

そんなレア(だと信じたい)な車を、

しっかりと操り切っている.....。

たまーに、ぎゃぎゃぎゃ!....と

スキール音を鳴らしてドリフトしたりする、

.......のだが.....車内は割と快適なのだ....

まるで手品だな...とそう思っていると....。

「とーちゃーく!」


 入国手続きを行い....宿へ。

なんてことないタダの宿(ダブルみーにん!!)、

なので割愛させていただく....。

今回もシャワー浴びてマップ見ただけだ。

そういえば....何か忘れている.......。

「あ。」

「どうした少年?」

「ファネは!?」

「そういえばいないなぁ....」


 ファネは寄り道していた....

主人ルアが喜びそうなものを探しに...だ。

銀貨を1枚くすねて来た、

ファネは脳波を感知する事ができ、

主人ルアの感情の変化をそれで知る事ができる。

しかし、どれが好きだーとかは分からない...

ヒトとはめんどうくさい生き物だな...と、

ファネは思った。

そういえば、最初に合った時は...

布で円盤をひたすら擦っていたな...。

先日は機械いじりが好きとも言っていた。

ガラクタを持っていったら喜ぶに違いない!

ファネはそう考えた...。

ガラクタ屋さんを探すために脳波を感じる。

前方700m!発見!

そうしてすぐさまひとっ飛び,..

秒速10mほどで飛行すると、70秒で到着。

ふわっと降下し慎重に降りる....。

『わぁ!なにこれ!変な生物が!....なんの竜...かしら』

竜では無い...ファネだ!と思った。

『銀貨を持っているわ...?もしかしてお使いに来たのかしら?』

そうそう!と頷く。

『何が欲しいのかしらね...』

そういえば...

何が欲しいか伝えられないでは無いか...。

そもそも欲しいものも決まってない!

ここに来てファネは頭を抱えた...。

『うわぁぁ!?どうしよう!苦しみ出したわ!?』

試しに脳波をぶつけてみるが....効果無し。

『分からないわね....そうだ!1個ずつ見せるからそれに近い物が来たら....頷いてちょうだい!欲しいものだったら銀貨を置いてちょうだい!!.....伝わってるかしら....』

頷いた。

『あら...あなた随分賢いのね』


 それからひとつひとつ見せて貰った...

...とは言え勢いだけで来たものだから.....。

うーむ.....ん?あれは....

棚の中にとある道具を見た...。

主人ルアが持っていた物だ....!

ちょっと形は違うようだが...。

ファネはそれに一目散に飛んだ。

『どうした!急に...カメラが欲しいのかしら?』

ファネはそれから、

器用にレンズキャップを取り外す...。

『そっちが欲しいのか....失くしちゃった感じかなぁ...でもサイズが合わないとなぁ....、そうだ!』

店主は店の奥に入ると、袋を抱えて出てきた。

『これ全部持って行ってさ...合う奴を見つけてきなよ!銀貨一枚でいいわよ』

ファネは頷くと、銀貨を店主の手の上に置く。

『達者でね!』

ファネはカチカチと嘴を鳴らし、

袋を足の爪でしっかり持って飛び出した。


「ファネ、帰ってくるでしょうか。」

「うーんどーだろ...ってあれ!」

「なんです?」

「後ろ後ろ!」

「うひゃあっ!?」

窓越しに何かの袋!

恐る恐る開けると...

飛び込んできたのは白いドラゴン。

「ファネじゃないか!!...心配させてくれて....。もうっ.....ってなんだこれ...」

袋の中には沢山の蓋。

「拾って来たのか...?」

首を横に振る。

「買ったっていうのか?!」

「うお!銀貨が一枚ねぇ!」

「師匠は師匠でケチ臭いなぁ....。うーん買ったって言うなら貰って置くけど...今度はちゃんと教えろよ!」

その小さなドラゴンは、

少し何処どこか別の方を向くと...顔を戻し頷く。

「分かってんだか....うん....ありがと。」


 それから自身のカメラに合う奴を探し...

「あった!」「師匠!!それちょっと....本体と違う文字が....」「えぇ〜」

「あった!」「師匠!!それ少し緩いです!!」「あちゃ〜」

「あった!」「あった!!」クエー!

部屋の一室で盛り上がり...

五月蝿うるさいと宿のおさに注意され....

大量の余りはファネの先導で返しに行った。

『あら、別にいいんですけどね』

「流石に多いです。」

『ふふふ.....まぁそうね!あら...竜の....』

竜ではない、私はファネだ!と思った。

「ファネって言うんです。」

『へぇ....!』

「では...お世話になりました。」

『こちらこそ〜!ファネちゃんも!』

そう、私はファネ....。

満足気にカチカチと嘴を鳴らして去った。

「ちょ...速いですって!!」






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