旅人と魔法の杖
ガサゴソ....
ころん....
「なんだこれ...。」
偶にやる整理整頓...。
その時リュックからこぼれ落ちた一本の棒...
それを拾い眺め考える少女....
「むっ....。」
その少年、ルアは旅人だ。
その棒を多方向から見てみる。
ツルツルに磨かれた表面に装飾が彫ってある。
「魔法の杖だよ」
「ひゃうい!?.....ぐふん..けほぃ.....師匠...! 脅かさないでください...。」
「ごめんごめん!そーんでそれは魔法の杖さ...。魔力容量と魔導率が高い上質な木を、上質な環境で仕上げた、上質な一品...魔力をかなぁーり安定させられるからさ、少年みたいにセンス無くてももしかしたら光線くらいのは出せるんじゃないかな?」
「センスないって....。」
「あ、ごめん」
師匠こと、銀の髪を流したシュネーは、
その魔法の杖とやらを、ルアに持たせる。
「こう...ですかね。」
「多分そう、概ねそう」
魔法の使い方は、魔力の流れを整流し、
その魔力の流れの動きによって、
火炎や水等を魔力を素材に再現する...。
魔法は魔力がそれに近いものに変わるだけ....
よって、水は水では無い。
因みに、炎を魔法で繰り出した場合、
その魔法自体はそのものでは無いが...
擬似的な炎によって引火する事はある...。
引火すれば燃料や酸素が切れるまで燃え続く。
魔法による流れを崩す性質のある
そこから因果する別のactionには無力である。
魔法の杖は、杖という先端のある物体故に、
その先端に魔力を集中する(イメージが)事が
容易になる補助具的立ち位置ではあるが...、
これ無しで魔法を使おうとすると
底無しの集中力、精神力、想像力...を求める。
尚、魔法協会魔法試験において最高枠となる
甲級魔女は、これが必須事項となる。
ルアは第3類の魔法書物を取り出し、
(※第3類はただの教科書)
「ちょっとだけやってみます...。」
杖と本を交互に見つつ構える。
その杖の先にエネルギーが集まるイメージ....
きぱぁしゅっ!
紫の稲妻がそこから放たれ草を焦がし、
軽いルアの体は少しよろける。
慣れないと反動が凄いやつだ。
稲妻が消えると全身がどっと疲れる...。
「うぐ....。」
「おみごと」
「これアレですよ...一日一発系ですよ...。」
「撃てるだけいいだろ〜、こちとら魔力に嫌われてんだ」
「魔法陣とか練習したら出るんですかね...! 」
「多分出ない!」
「えぇ....。」
「あくまで"多分"だ少年よ、魔法陣ってただの余剰エネルギーが渦巻いて紋様作ってるだけだからな...あ、紙に書いて撃つみたいなのは最適に流れるようにの工夫だから違うけど」
「なるほど。」
「所謂ドリフトみたいな感じだナ...なんかかっこ良いけどブレーキングで周った方が速い...みたいなさ。...因みに本当に魔法強いヒトは魔法陣出さない。」
「へぇ....。」
「何度も言うが、余剰エネルギーって事は効率が悪くて、魔力はみ出てるって事だからサ...プロは封じ込めてもっと低燃費にそれでいて高性能に出せるんだよねぇ。あでも、演出第一なヒトは派手にパァーっとやるかもね、それだけ自信があるんだろう...。わたしゃ嫌いじゃない...」
「はえぇ...」
「余剰を減らすのは努力でなんとでもなるから...しょーねんの頑張り次第って訳だな」
「頑張ってみます。」
ルアはそこら辺から木の枝を拾い上げると、
地面深々に刺す。
そして5mくらい離れると、
杖を構える...。
....構えを辞めると1m近づく...
再び枝に向けて構える。
すぅぅ...と深く呼吸をし....
イメージを募らせる!
手回し式鉛筆削りの削りカス入れの
下に付いた炭素程の魔力を絞り出し...放出!
ぽひゅ。
1mも飛ばず薄紫の稲妻は消えた。
「まだまだそうです。」
「努力is努力よ、頑張れ少年」
「はい....!」
そうしてこの日は終わりを告げる...
道端野宿の準備は出来ている。
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