夕飯の前に....。

 黒い短髪で、ターコイズブルーの眼を

燃える焚き火に向ける少年....

名はルア

銀の髪をたなびかせ、パステルピンクの瞳を

現れ行く青い星空に向ける女性....

彼女の名はシュネー

湖畔で二人は暇を潰していた。

「しょうねーん...!御籤引いたかい?」

「引きましたよ...?」

「何が出たのー」

「大吉ですっ。」どやっ

「ウワッ!」

「うわって.....。師匠はどうなんです?」

「内緒〜」

「えぇ...。」

微笑みが凪に木霊する。


「師匠って野宿の時、刀振ってるじゃ無いですか。いつ使うんです?」

「いつだろうねぇ〜...」

「じゃ、何のために振ってるんです?」

「努力だよ努力」

「努力.....どうして....?」

「努力する理由は結局のところナメられたくないから、どこの分野も天才的なセンスを持ったヒト達がいるのに、勝てるわけないのに、努力するのはナメられたくないから。人は1人では強くなれない他人を下にみて、愉悦と共に強くなる。愉悦が消えた時にヒトとして強くもなる。しかし消えた結果に上を目指す。上には上がいて、相対的に弱くなる。負け続けて、つまんないって思ったら...。ヒトはナメ続けて強くなる。ナメられ続けて弱くなる。こんなところかな…。」

「...師匠は舐めプが好きってことですか?」

「いや?全然そんなことないよ逆に全力で当たっていきたいね。さっきも言った様にナメられるって 事は気分が悪いし、他人にやられてイヤな事をやるのは抵抗感あるヨ流石に…。舐めプしてくる相手はまだ強くない、強くなれる器が出来上がってない。まぁ"楽しい"ってのはヒトの成長に関しては恐ろしい位に助けてくれるからね。"楽しむ"ことも大切だけどね...あ、でも私が舐めプされたらぁ...舐めプで返してあげようかな〜そっちの方が楽しいんでしょ」

「へぇー....。」

見ていた夜空は傾き出していた。

次の宇宙そらへと移り変わってゆく....

肉と熱され甘みを得た野菜の香りを連れて。

「....さて、今日の晩御飯は....何かな?」

「はいっ、えーと....チキンとお供え物の水炊きです。」

「ちゃっかりしてるねぇ...どれ、」

「あっ...摘み食いっ!」

「あっちゃ!」

「言わんこっちゃない...。」

「言われてないもの〜あちち....」

夜は始まったばかりで

冷え込んで行くはずが......。

熱は入る一方だった。


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