崩壊する日
それは、
たったたたたたたたたった.....
曇天の中、荒野を
クリーム色に赤いラインを引いた鋼の馬が
ただ途方も無く駆けていた。
その馬の持ち主は1人乗りのはずの運転席に
ゆとりを持ってハマる程華奢な身体に、
黒い髪、そしてターコイズブルーの瞳の少年。
「あれ?」「どうしたん」「いや....。」
彼の名はルア。
背後のパイプから聞こえる透き通った声は、
長く下ろした銀の髪に
パステルピンクの瞳と猫のように細い瞳孔、
その女性、シュネーのものだ。
「あ、師匠!城壁見えてきました。」
「りょーかい、かっとばせ!」
「ほいさー。」
見えてきた目的地に向かって、加速した。
『旅人さん二人ですね?ようこそ我が国へ!こちらでお待ちください!』
「はい。」「ほーい」
部屋には蛇口があり、
ひねるとお茶が出てくる。
これは考えたものだ...。
でも茶渋とか大丈夫なのだろうか...。
と、勝手にルアは心配になる。
そうこうしている内に...
『終わりましたよ〜どうぞ!』
入国し、宿探しだ。
石造りの道々をゆったりと進んで行く。
たたたたたたたた....。
「ここでいいですかね。」
「うん、いいんじゃーん?」
どうせ見てないので、
駐車スペースに停めて宿に入る。
部屋のカギを貰い、拠点作り、
そしてシャワーを交代で浴びる。
ルアはプラン作りを始める。
地図を元に大体のルートを決める。
「こんな感じで...。」
シャワー上がりで
タオルを頭に巻いているシュネーに、
矢印を描いた地図を見せる。
シュネーはそれを持って少し見ると、
「りょーかいっと、ふぃー...なんか疲れたからなぁ〜...寝るわ、お先に」
「あっ、はーい。」
返事を聞いた後に、
ぼふぁッ!とベッドに沈み込み、
しばらくしてスー...スーと寝息を立て始めた。
「おやすみです。」
綺麗な寝顔を背に、自分のベッドに入り寝る。
夜が明ける。
その日も曇天が広がった。
石造りと空は同化し、目は疲れる一方だ。
城門の方面がなにか騒がしい。
門からは軍隊の様な人々と
大型の台車に乗った巨大な生物が現れた。
大きな翼を畳み、その翼は杭で打ち付けられ
全体は縄で縛り付けられており、
その上から更に結界が張られている。
捕まえて来たのか。
そのぐったりとした生物を他所に、
周りの人間達はお祭り騒ぎだ。
「なんなんですかね。」
「私にもわからん...あ、そうだ出店出てるから...サンドウィッチ買ってくる、適当な所で待ってなー」
「はーい。」
シュネーはそうしてヒト々の中に
臆せず突っ込んで行った。
特にやることが無いので...
ルアはその巨大生物に近づいて行った。
それは何か哀愁を感じた。
目を閉じたその生物をただ眺めていると、
兵隊の1人が近づいてきて
『ようお嬢ちゃん、こいつすげぇでけぇだろう?』
「そうですね...僕の見た生き物の中では1番大きいですね。それと...」
『それと?』
「お嬢ちゃんじゃないです。」
シュネーが帰って来た
サンドウィッチを2個持っている。
かなり並んだようだ...。
「なんか見つけたのー?」
「まぁ、そうですね。」
シュネーが来るまでに先程の兵士から
聞けることを聞き出した。
「あれは龍なんだそうです。それでここらの一帯を脅かす恐るべき龍だそうで、ギルドも近くに研究所があるので、狩ることが出来ればギルドから多額の懸賞金が出るそうなんです。」
「龍....ねぇ....」
その生物(以降、龍と呼称)は寸分も動かず
ただ、なんの目的も無く横たわっていた。
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