【第11話】勝負! 炎のゲロフレア!
「どうして私の名を……? って、あんたジーロ!?」
「ポコタンもいるポコ! エロイザしばらくぶりポコ!」
ポコタンがエロイザの足に飛びついて、太ももをペロリ。
「やめい、エロ小魔獣!」
ポカリと殴り落とされるポコタン。
「しゅん……」
「相変わらずだな。それよりジーロ、いったいどうしてここに?」
「ゲロフレアに聞きたいことがあるんです。エロイザさんは、やはりゲロフレアを討伐に?」
「いや……その……えーと……」
「どうかしましたか?」
「おまえたちのせいでゲロフレアに逃げられたあと、いろいろあってなー」
「その節はご迷惑をおかけしました。いったい何があったんですか?」
「あのあと、ゲロフレアが手下を連れて仕返しにきやがったんだよ。油断してた私たちはヤツに捕まっちまって、今ではここで衛兵として働かされてるってわけだ」
「なんですって!? 他の3人も捕まったんですか?」
「ああ。この下にある懲罰房に入れられてる。ゲロフレアは極端な女好きの男嫌いでな。ヤツに捕まった女は衛兵として働かされる。男は懲罰房に入れられて水も食料も与えられず、死んだら裏の畑の肥やしにされる」
「なんてヒドい……。そうだったんですか。でも、見たところ拘束はされていないようですし、エロイザさんなら簡単に逃げ出すことができるんじゃないですか?」
「衛兵が山ほどいるのを見たでしょ。船はゲロフレアしか使えないし、この島のまわりの岸壁には、気持ち悪いほどの数の水棲魔獣がへばりついてるから、泳いで渡ろうにも、海に飛び込んだ瞬間に食われるわね」
「なるほど……」
「ポコーッ! ゲロフレアめ! 可愛い女の子ばっかり捕まえてきて、夜な夜な何をさせてるポコ!?」
「そりゃもう……ひどいもんよ」
「えっ。たとえばどんなことポコ!? 詳しく聞かせてポコ!」
「ポコタン、今はそれどころじゃありません。ゲロフレアのところに急ぎましょう。用事が終わったらエロイザさん、一緒に僕たちの船で脱出しましょう」
「そりゃー助かる! しかし、ジーロはゲロフレアに何の用事があるの?」
「実は、僕の友だちが魔王にさらわれたのです。魔王の手下のゲロフレアなら、魔王の居所を知っていると思いまして」
「それを聞くために、ここまで忍び込んできたのか?」
「そうです」
「なるほど」
エロイザはそういってうなずくと、深く息を吸った。
「どうしたんですか?」
「いやな予感がするポコ」
そして、いきなり大声を張り上げた。
「ゲロフレアさまーーーーーーーーーーーーーーーっ!!! 侵入者でーーーーーーーーーす!!!」
「ポコ!?」
「エロイザさん、裏切ったんですか!?」
「ハハハッ。裏切るも何も、おまえはもう私の仲間じゃない。侵入者を捕まえれば、恩赦でゲロフレアに解放してもらえるかもしれないからな! そもそも、おまえがゲロフレアから魔王の居所を聞き出して、無事に帰れるわけがねーだろ! 相変わらずバッッッカだな!」
そのとき。
ズッシーン!
床を蹴破るぐらいの勢いで階段を下りてきたのは、ゲロフレアだった。
「んー? せっかくの酒の邪魔をするヤツは誰かと思えば、エロイザの仲間じゃないか」
「はい、ゲロフレアさま。こいつらが侵入者です」
「仲間を売るとはエロイザ、おまえはいい根性をしてる。わが手下にふさわしい」
「え……。あ、はい」
どうやら解放されるどころか、ゲロフレアに気に入られてしまったようだ。
「おい勇者、残念だったな。仲間を助けにきたんだろうが、裏切られてしまったようだな」
「いや、本当の目的は他にあるのです。あなたに聞きたいことが」
「俺に聞きたいこと?」
「魔王の居場所です」
「そんなこと、勇者のおまえに話すわけがないだろう。バカかおまえは!」
「ですよね。ならば、勝負するしかありませんね!」
「ぐわっははははは! おまえ1人で俺と戦うだと!? あのときは5人の勇者パーティーだったから俺も苦戦したが、1対1で俺に勝てる人間など、この世におらん!
「ポコもいるポコ!」
「な……なんだ!? 言葉を話す小魔獣とは珍しいな。魔獣のくせに、われら魔族に歯向かうとは、ますます許せん。その男と一緒に殺してやる!」
「ポコ!?」
ゲロフレアは酒を飲んでいるといっていた。
こうなったら、酔っ払っているうちに、先手必勝だ。
「ポコタン! 攻撃です!」
「ポコーーーーーッ」
ポコタンが叫ぶ。
ゲロフレアは炎を吐く攻撃を得意としている。
ポコタンの攻撃が氷属性や水属性であれば戦いを有利に進められそうだが……。
はたして今回はどんなランダム攻撃が飛び出すのか!?
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