第3話
「おめでとう、哀歌」
間島が事務所で祝辞を述べた。
「オマエの合格はずっと以前から神によって
決められていたんだ。決して偶然なんかじゃない」
「ありがとうございます。間島さん」
哀歌は嬉しさでいっぱいだった。
無条件に。
「何か一曲、聴かせてくれないか」
「ハイ、それじゃあ新しく作った歌を
やっぱりアカペラで」
「頼む」
(アナタを愛して私は夢気分
雲の上を歩いているって
こんな感じかしら
アナタを愛して私は夢心地
もう何も目には入らない
とても素敵なのよ
タトゥーゲーム
お互いの体に愛の入れ墨を
彫りあう危険なゲームよ
タトゥーゲーム
お互いの心に
愛の入れ墨を
刻み込む危ういゲームなの)
哀歌が歌い終わった。
間島が拍手した。
「すばらしい。さすが私が見込んだ
子だ」
間島が賛辞を送った。
「これが契約書だ。ざっと目を通して
おいてくれ」
哀歌が契約書を黙読して
「オーケーです」
と、返事をした。
「それじゃあ、早速レコーディングだ。
まずはカバー曲を10曲ほど
歌ってもらう」
間島が楽曲リストを哀歌に手渡した。
「うわーっ、凄い私が尊敬する歌手の
曲ばかりだ」
哀歌が手放しで喜んだ。
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