第6話 帰ってきた?

「カーチャン!?」


 目覚めると、そこには何故か母ちゃんがいた。

 涙を必死に堪えていた。


「あーはーはーはー!

 イヤだよ! このコは!!

 ある日未来に行ってくるって家を飛び出て行ってこのザマなんてね!」


 ……笑ってやがった。

 どうやら涙が出るほど笑いを堪えていたらしい。


「で? どうでしたか? 睡眠学習は?」


 研究員が事務的に聞いてきた。


「ああ、かなりリアルでした。

 なんというか、現実の残念な感じが特に……」

「そうですか。

 一応ネットの最新情報を元にAIがあなた好みの未来像を再現した結果なのですが」

「……そんなバカな」


 私が怪訝そうな顔をすると、母が私を押しのけた。


「先生、すみませんねぇ。

 ウチのコがご迷惑をお掛けしまして!」

「いえ、本実験のご協力に感謝しております」


 ……という訳で、どうやら私はコールドスリープで100年後の未来に行ったわけではなく、あくまで睡眠学習で私好み(?)の未来像を体感し、現実というものを叩き込まれたらしい。

 なんだか骨折り損のくたびれ儲け感が否めないが、教訓は学んだ気がする。

 まずは車とワクチンの仕組みを簡単で良いから勉強しようと思った。

 以上でレポートはここまでにするが、果たしてこれは現実なのだろうか?

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斜め上の未来 電出デン @ehiro

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