お花見

 「みんな、今日は来てくれてありがとう!また同じ学校で、しかも同じクラスだなんて俺嬉しい。頼りにしてるからなぁ!」

 

 「お兄ちゃん笑いながら泣いてる!」

 「俺は本当に嬉しいと思ってるし、今年もみんなでお花見できてよかった!」

 

 颯の感動の挨拶からお花見は始まった。感極まって泣いてしまうというハプニングもあったが、みんな笑顔で桜に見合った美しい空間となった。見上げると僕達を優しく包み込むように青い空が広がっている。ほのかに暖かい太陽が僕達を照らす。


 「みんな何持って来た?私はいなり寿司と唐揚げとデザートにカップケーキ焼いてきたよ」

 デザートまで手作りで持って来てくれるなんて、さすが恋代莉。カップケーキにクリームにフルーツ。自分たちでデコレーションをできるようになっていて遊び心も追加されている。

 

 「僕はおにぎりとおばあちゃんと作った煮物とお菓子をいくつか持ってきたよ」

 おにぎりには梅干し、おかか、こんぶを入れて僕と弟で作った。まだ煮物はマスターできていないので、おばあちゃんと一緒に作った。おばあちゃんと一緒に作っているので味は保証できる。長く煮込んでいるので味がよく染みていて美味しい。


 「俺はベーコン入りの卵焼きとベーコン入りのスクランブルエッグとアスパラのベーコン巻きと愛花と一緒にクッキー焼いてみました!」


 「「おかず全部にベーコン入ってるやないかい!」」


 「ツッコミありがとうございます!ベーコン入ってればなんでも美味くなる!みんなもそう思わない?」


 颯はなぜか誇らしげな顔をして、賛同するのが当たり前のような風に言っている。確かにベーコンは味が濃くて美味しい。


 「僕達に同意を求められても、、ねぇ」


 「お兄ちゃん場が白けてるよ」


 この空気感に慣れているかのように颯の妹の愛花がこの場の空気を流していった。

 お花やハート、そして星など様々な形のクッキーがある。


 その後は小学生の時や中学生の時のたわいもない話で盛り上がった。


 「みんなは何歳まで生きたい?」


 「急にどうしたんだよ颯」


 「だって、いつまでもこんな時間が続けばいいなーって思ってさ。みんなで集まってこうやって楽しくお花見だなんてあと何回できるかもわかんないし。ずっとみんなと一緒にいたいと思って。俺は100歳まで生きるぞ!」


 「まずその食生活を直さなきゃだね。お肉ばかりじゃ栄養が偏って不健康だよ」


 「た、確かに。明日からは絶対野菜食べる」


 「今日のお弁当の中にも入ってるけどそれは食べないの?」


 「お兄ちゃん一人で食べれないの?愛花が手伝ってあげる。口開けて!」


 「と、トマトだけはやめてくれー」


 颯がいるとその場では常にコントが行われているみたいだ。妹の愛花ちゃんとのコンビが最高だ。

 

 「翔太と恋代莉は何歳まで生きたい?」

 

 「僕も100歳くらいまでは生きたいかな」

 父は32歳、母は45歳という若さで病気で亡くなってしまった。僕は両親の分まで長生きできるように頑張りたいと思っている。


 「翔太も100歳まで生きたいのか、100歳になってもずっと友達でいろよ!」

 お酒を飲んでいるわけでもないのに飲んでいるかのような状態になっている。

 颯と一緒にいると元気がもらえるのでなんだか長生きできるような気がした。


 「で、最後恋代莉は?」


 「えっと、、、うーん80歳くらいかな?」

 悩んだ末に出した答えは80歳。健康に気を遣っているので実際にはもう少し長くいきそうだなと僕は思う。


 「えー、恋代莉も俺たちと一緒に100歳目指そうぜ!」


 「確かにみんなと一緒なら100歳まで生きていけそうな気がする」

 恋代莉は戸惑いながらも僕達の100歳まで生きよう計画に賛同した。

 どこか引っかかるような気はするが人には踏み入ってほしくないこともあるだろうから深く言及することはやめておいた。


 「愛花はお兄ちゃんより長く生きる!」

 「僕はお兄ちゃんと同じくらいは生きたいかな」


 「みんなで100歳を目指そう!」

 「「「「お、おー!」」」」

 

 長生きを目指そう宣言でみんなの気持ちは一つになった。 


 話がひと段落して落ち着いたところで恋代莉が作って持ってきたカップケーキにみんなで好きなように飾りつけをして楽しんだ。恋代莉は綺麗にクリームを絞り、フルーツをバランスよく上に乗せてお店で売られているようなセンスの良い美しいデコレーションをしていた。

 颯と愛花ちゃんはクリームとフルーツをどれだけ高く積み上げられるかの勝負をしていた。

 光はクリームとフルーツを上手く飾り付けて、最後にはチョコペンを使いクマを作っていた。

 僕は恋代莉と同じように見栄えよく盛り付けようと思ったが、あまり上手くいかなかった。

 

 デザートも食べ終わり、その後はバドミントンや颯達が飼っている犬のタビくんと一緒に走り回ったりして今日の花見は無事に終了した。

 久しぶりにみんなとたくさん話してお腹が痛くなるまで笑ったし、普段しないような内容の話までしてとてもいい時間となった。


 来年もまたここで笑い合えるといいな。

 

 


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30の願い 御野影 未来 @koyo_ri

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