第81話 甘い新婚?

「狭い・・・暑い・・・」

ベットの上で、自分より大きな男2人に両サイドから挟まれ、優希は愚痴を溢す。

「仕方ないだろ?大きなサイズから来るまで我慢してくれ」

クロードが優希の右腕をがっつり掴みながら、甘えた声を出す。

「それなら、届くまで待てばいいじゃないですか?」

冷めた声で返すと、今度は左側から声がする。

「ダメだ。それだと毎晩どっちが一緒に寝るか揉めるだろ?これが一番いい」

モーリスは優希の手を握りながらそう答える。

優希はため息を吐きながら、少し咳払いをする。

それに反応したクロードが起き上がり、サイドテーブルから水の入ったコップを取ると、モーリスが優希を支え起こし水を飲ませる。


「声が出たとは言え、まだガサガサだ。無理に喋らなくていい」

「しゃべらせてるのは誰ですか?」

コップを返しながら、優希はまたため息を吐く。

「2人の無茶振りにはびっくりしてます。よく王様が許してくれましたね」

「王に全てを打ち明けたから、時間がかかりはしたが認めてくれたんだ」

「打ち明けたって何を?」

「私もモーリスも優希を愛してると言ったんだ」

「えっ!?ゴホッゴホッ」

「ほら、無理をするなと言ったばかりではないか」

クロードは優希の背中を摩りながら声をかける。優希はクロードを睨みつけると、クロードは苦笑いをする。

「王も最初は戸惑っていたが、2人でどれだけ想っているのかを伝えたら、半ば諦めてくれてな。他の幹部達を納得させられたら認めてやると言ってくれたのだ」

モーリスの淡々とした言葉に、優希は言葉を無くす。

「それで、式は神殿で行う事にした」

「式も挙げるんですか!?」

耳を疑うクロードの言葉に優希は声を荒げ、また咳き込む。

「もちろんだ。以前から優希の姿を見たいと民から嘆願書が届いていたから、お披露目と一緒に式を挙げる事にした」

「前代未聞の式だから、民の反応が気になる所だが、第二皇妃として挙げるのだから問題はないだろう」

相変わらず淡々と話すモーリスを、少し恨めしそうに見つめる。


「そ、それでな、優希。閨のことなんだが・・・」

「閨って何ですか?」

「初夜とかの体を重ねる事だ」

控えめに話しているクロードと違い、モーリスはまたもや平然と話す。

その言葉に優希は顔を赤らめる。

「2人同時は無理ですっ!」

優希の返事に2人は一瞬キョトンとした顔をして、ブフッと吹き出して笑う。

「そんな事は考えていない」

モーリスが笑いながら答えると、クロードもそうだと笑いながら答えた。

「閨の事は優希の判断に任せる事にした」

「どんな判断ですか!?」

「そうだな。したい時に相手を選んでする。それか、曜日を決めて互いに2人の時間を決めて、その時にするかどうかは決める・・・それでどうだ?」

「それがいいな。今はこうして三人で過ごせるが、いずれは私もモーリスも邸宅を持つ。その時は曜日を決めて2人で過ごす日、三人で過ごす日を決めよう」

「・・・・もう勝手に決めてください」

意気揚々と話す2人と裏腹に優希は気持ちが沈んでいく。

それと一緒に体も沈めて横になる。

2人もそれを見て、体をずらし隣に寄り添うように寝る。


「クロードさん、モーリスさん、愛情は半分でいいです」

「何故だ?」

優希から溢れた言葉にクロードが尋ねる。

「新しく来るお嫁さんは、たださえ俺の存在を理解してきてくれるのに、俺が基準の愛情だなんて可哀想すぎます。平等に分けてください。そうでないといずれ子供ができた時に困る事になります」

「・・・・・」

「・・・・・」

「俺は今の現場だけで満足なんです。今日、ここを出ていくと決めていながらも、悲しくてしょうがなかったんです。正直、会いにこない2人にも、俺が出した答えの結果だとわかっていても腹が立ちましたし・・・でも、2人が俺を想ってくれてるのはしっかり伝わりましたし、何よりここで2人の側に入れる事だけで満足です。それに・・・」

「それに?」

「言いたい事は言え」

「最初からそんなに愛情をもらうと、きっと俺は新しいお嫁さんにヤキモチを妬いてしまします。俺から言い出した事だけど、やっぱり少し妬いてしまうと思います。俺は第二だから立場も下だし、何も言えないけど・・・」

ボソボソと語る優希の手をクロードは取り、手の甲にキスをする。

「優希、約束する。絶対寂しい思いはさせない」

「ちゃんと結婚の約束は守るが、何度も言うように俺達の肯定は優希だ。それ以外に意味は持たない。だから、何も心配するな。お前はただ俺達だけに目を向ければいい」

モーリスも手を取りキスをする。2人の甘ったるい雰囲気に優希は顔を赤らめ、早く寝ましょうと伝える。2人はそんな優希を見ながらふふッと笑みを溢す。

それから2人は優希の頬にキスをしておやすみと伝えた。

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