2023年 下半期

37. アメリカン・メタル6選【メタル】AVENGED SEVENFOLD/TRIVIUM/RIOT Vほか

今回は特に前置きはございません。文字通り北米に拠点を置いた数多のメタルバンドのうち、筆者が思い入れのあるバンド、近年になって注目しているバンドを取り上げます。


伝統を受け継ぐパワーメタルから、メタルのモダンな在り方を示したメタルコア、そしてプログレッシヴなバンドまで、アメリカン・メタルの幅広さの一端をお伝えできればと思います。



今回紹介するバンドと、公式動画をまとめたプレイリストです。


★アメリカン・メタル6選【メタル】

https://www.youtube.com/watch?v=pZkUCklg5Bs&list=PL_guDDmuRSVUsysdRc5GmipSytkDJxLA9


RIOT V

WILDERUN

THEOCRACY


ARTIFICIAL LANGUAGE

TRIVIUM

AVENGED SEVENFOLD(※)



※A7XはThe Revの作の2曲「Almost Easy」「A Little Piece Of Heaven」を収録しています。




◆RIOT V


Mark Reale(Gt)亡き後のRIOTの遺志を受け継ぐバンド。基本は『Thundersteel』期のパワーメタル路線を現代にアップデートした作風です。Todd Michael Hall(Vo)は超人的な歌唱力の持ち主ですが楽器隊もそれに劣らぬ猛者揃いです。


◇まずはこの一枚

『Armor Of Light』(2018)

https://open.spotify.com/album/2b9BzaU6fSrmQKV4ziQ7JV?si=RB_0zctpSZOB4nZ2HiSXYQ


まずジャケが最高。音楽も見事RIOT不滅の魂を体現した熱さ。前半の勢いからなだれ込む後半は捻りを加えつつ絶唱で〆。これがメタルでなくて何がメタルぞ。




◆WILDERUN


以前の特集(第21回)で名前だけ挙げていたボストン産プログレデス、満を持してのご紹介。暴と美のコントラストは往年のOPETHを想起させますが、曲構成に意識の差が窺えます。リフよりもフレージングで牽引していく印象が強めです。


◇まずはこの一枚

『Veil Of Imagination』(2019)

https://open.spotify.com/album/0KO9NudzozMdGwssikEcHz?si=drYme1e8RAWtCDXm1391VA


4thと迷いますがまずはこちら3rdを。背景を彩るオーケストラがスケール感を増大させ、前作までの泥臭さを払拭しています。山場のTr.7には魅力が凝縮。




◆THEOCRACY


Matt Smith(Vo.ほか)を中心としたパワーメタルバンド。キリスト教の教義を賛美する所謂クリスチャンメタルにも分類されますが、そういった細かいことは抜きにしても良質なメロディと熱い演奏が楽しめますので、ぜひご一聴の程を。


◇まずはこの一枚

『Gost Ship』(2016)

https://open.spotify.com/album/0bej9yySALDbCmz1ph58pY?si=88X6UokoQs6njjSt_Ad0AA


序盤からアッパーチューンで畳み掛ける展開。ミディアムナンバーにもエモーショナルなVo.と比類なきメロディセンスが光る。メリハリあれども死角なし。




◆ARTIFICIAL LANGUAGE


プログレッシヴな展開の裏でそれとなく主張するKey.、和声的短音階ハーモニックマイナーで煽りまくるGt.、エモーショナルで哀愁を帯びたVo.に心を掴まれます。メタル色は薄め。部分部分はともかく全体的印象は他に類を見ない不思議な味わいです。


◇まずはこの一枚

『Now We Sleep』(2019)

https://open.spotify.com/album/0TfdlOVPcFcd4QOWTF1VoS?si=iyxIRUjHTMOuVniOCZEKmg


いかにもなプログレメタルの域に留まらない、多面的でユニークな音楽性が存分に発揮された2nd。売りである叙情性がより前面に出た1stもおすすめです。




◆TRIVIUM


日系のMatthew Kiichi Heafy(Vo/Gt)率いるメタルコア20年選手。古典的メタルに倣った勇壮なメロディ、デス/ブラック譲りのアグレッシヴでテクニカルなプレイ、プログレメタルに片足を踏み入れたエピカルな曲展開がウリです。


◇まずはこの一枚

『In The Court Of The Dragon』(2021)

https://open.spotify.com/album/0mrtkWYrUzTuFwyiiQPdQs?si=w-xJTMNoS3aRzkGRhMk6xw


筆者の中では4th『Shogun』(2008)が長らくTOP1の出来でしたが、この名盤登場によって塗り替えられました。アンセム調の「No Way Back~」は白眉。




◆AVENGED SEVENFOLD


TRIVIUMと同時期に現れた現代米メタルのビッグネーム。最初期はメタルコア、その後3rd~4thの辺りで欧州型のパワーメタルを吸収した明るいサウンドで幅広いファンを獲得しています。略称は「A7X」。


ツインGt擁する5人組の中で特に異彩を放っていたのがThe Rev(Dr/Vo)の存在です。彼はメインのソングライターであるとともにバンドの精神的支柱でもありましたが、5th発表前の2009年末に急逝してしまいます。


音楽性の変化が激しいバンドで、直近の2作は初期とは似ても似つかぬ前衛的な作風を披露しています。ですが、どの時代においてもSynister Gates(Gt)のテクニカルかつ個性的なプレイは常に輝きを放っています。


◇まずはこの一枚

『Avenged Sevenfold』(2007)

https://open.spotify.com/album/3Id3VUk9jSKBD1guNo1buF?si=9E3BF1hXSTqYbIKj0uXj9w


4th。OINGO BOINGO調の怪作「A Little Piece Of Heaven」他でカウンターボーカルを取っているのがThe Rev。唯一無二の存在感を放つ声とドラムとを聴き返す度、彼の稀有な才能が惜しまれてなりません。


この歴史的名盤の次作『Nightmare』(2010)ではRevの敬愛するDREAM THEATERのMike Portnoyがドラムを担当しています。前任者へのリスペクトが感じられる素晴らしいプレイに、両人のファンとして心からの敬意と賛辞を送ります。




最後は思い入れ深いA7X(およびThe Rev)に多くの字数を割いてしまいました。

3rd『City Of Evil』、4thのアウトテイク集『Diamonds In The Rough』も良曲目白押しの傑作ですので、ぜひ聴いていただきたいです。

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