第2話 転生したわたくしの、とある事情
あれはまだ、前世のことも現代のことも何も知らない、純粋で幼い頃のことでした(
“戯れる幼女たち……いいね!” “お巡りさんこの人です” “ちょっと待って? 鬼ごっこで駆け回るとか、貴族のご令嬢としておかしくない?”
おかしくないので待ちませんし変態紳士は二次元だけ見ててください(断言)。
ええ、そうなのです(まるで何事もなかったように)。
子ども特有の怖いもの知らずといいますか、時にはお屋敷の中をあちこち駆け回り、時には階段の手すりに乗って滑り降りたりしておりました。ええ、スカートをソリのように手すりに乗せると、すごく滑って楽しいんですよ! ……はい、すごく滑ってしこたま頭を打ち付けました! 黒歴史です!
ちなみに『黒歴史』の語源は、ターン○ーガ○ダムというアニメ作品だったりします。近代欧米風の牧歌的な世界観が舞台で良家のお嬢様に拾われた月から来た主人公のお話なので興味がありましたらぜひ観てみてください♪(オタク特有の早口)
…………えーと、何の話でしたっけ……? ついお話が脱線してしまう、わたくしの悪い癖♪(某刑事ドラマなみかん)。
ああそうそう、幼い頃のわたくしのお話でしたね。
ええ、そのあとはもうお約束です。例のあれです。頭を打った衝撃で「思い……出した……!」したのです(デ○ノートなみかん)。
自分が以前、現代の、日本という国で暮らしていたということを。現代の常識や知識なんかはわりと覚えているということを。そして自分が前世では────男! だったということを…………!
絶望しました!(大事なことなので二回言いました)
……まあ、正確にいいますと? 自分がどんな性格でどんな人物だったのか? とか。家族や友達のこと、とか。そういった個人的なことについてはぼんやりとしていて、よくは覚えていないのですけどね。
ですが……ひとつ、無念といいますか、覚えていることがあります。それは自分には────彼女が……いなかったということです…………(血涙)。
“お、おう……まあ、ドンマイ……” “涙拭けよ(っハンカチ)” “……待って、個人的なことは覚えてないんだよね? 何でそんなことがわかるの?”
何で? ……何でって、それは……なんかそんな気がするからですよ!(つまり根拠なし)
たぶん前世の自分は男だった! 可愛い彼女が欲しかった! 以上! ほら、男性らしいでしょう⁉(もはや精神論)
と、まあ、前世
今世で確実なことがひとつあります。それは……この、王候貴族が存在する中世ヨーロッパ風異世界の、貴族のご令嬢として生まれ落ちたということはつまり……将来は…………貴族の男性と────結婚! しなければならないということです……!
無理! 絶っっっっっっっっ対に、無理! (断言)
思えば前世を思い出す前から男性に対しては何とも言えない忌避感といいますか「イケメン○ぜろ」といった感情を抱いておりましたが、きっと記憶がなくとも魂が覚えていたのでしょう。その点についてだけはストン、と納得できました。
……できましたが、納得できてしまった分、余計に強く思いました。結婚……これだけは、無理! だって結婚……というか男性とお付き合いするということはですよ……? 男とデートしたり、男と手を繋いだり、男と見つめ合ってそして────無理! 想像しただけで……悪寒が止まりません! 絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ対に! 無理!(涙目)
しかもあれです! 覚えている現代知識にはオタク知識も含まれていますからね! 「薄い本が厚くなるな」とかもうネタでも言えません! こんなのってないよぉ…………女の子に転生なんてあんまりだよぉ………………!
絶望しました!(大事なことなので三か(以下略)
そうしてしばらくの間、悲しみに暮れ枕を濡らす日々が続きました(頭を打っていたので絶対安静だっただけともいう。ついでにいうなら寝汗で枕もシーツもぐっしょりでした)。
前世を思い出した
そうだ、二次元に生きよう(綺麗な瞳)。
……はいそこ、残念なものを見る目をしないー。ちゃんと理由を説明するから
まず第一に、結婚を回避する。
これについては現代ほどではないにしろ、この(今のわたくしの知る限り)中世ヨーロッパ風の異世界でも独身で活躍している女性はいますので、希望がないわけではありません。
そして第二に、自分で稼げる仕事を見つけて家を出る。
幸いにしてスペンサー家にはわたくし以外にも子どもがおりますので、跡取りについては問題ありません。かといっていつまでも実家でゴロゴロしていたら確実にどこかに嫁がされてしまうでしょう。貴族社会とはそういうものです。それに独身を貫いている女性は何かしらの分野で活躍している場合が多いので、第一の目標とも一致いたします。
極めつけの第三に、面倒な事情は一切考慮せず、単純に、純粋に願うのは────わたくしは、物語を創りたい!
前世の個人的な記憶は
それとですね、皆様には隠していたのですが……実はわたくし…………なんと! 転生者らしい圧倒的なチートが────────特にありません! ナンデヤ!(机バァン!)
…………すみません、取り乱しました……(虚ろな目)。
……ええ、例のあれではお馴染みの、謎の空間で神様的な存在に出会ったりとか、強大な戦闘力とか、希少で有能な能力とか、転生者らしい特典は特に何も……何も、ありませんでした……(悲しい)。ウッキウキで好きな作者さんの新刊を買いに行ったら、店舗特典は品切れだった時のようなガッカリ感です…………。
とまあそんなわけでして、わたくしには現代日本の知識はあるものの、その“
……だったら、好きなこと、やりたいこと、自分の心が望むことをやって、生きていきたい。
ところでこの世界、いえ、この場合は国と言った方が適当ですかね。学術的な本だけではなく娯楽小説なども存在するのは大変に喜ばしいのですが、残念なことにジャンルが少ないのです。ざっくりまとめますと戦記物か冒険物、あとは恋愛物。主流は以上の三つです。どれも嫌いじゃないですけれど、本好きの元日本人としては正直物足りなく、他のジャンルのお話も
……といいますか、アニメもゲームも漫画もないんですよ! 娯楽に飢えてるんですよ! 小説くらいは好き勝手に読み漁りたいんですよ!(ラノベオタクの叫び)
そこでわたくしは思いました。
「なら、前世の記憶のある自分がいろいろな作品を書いてジャンルを増やせばいいのでは……? そしてそれで生計を立てられれば……?」と。
はい、というわけでわたくし、作家になろうと思います!
皆様
……いえまあ、テンポ優先で所々すっ飛ばしたお話もありますし、作家を目指す者として魅力的に、相手に伝わるように語れたか? など反省点は多々ございま「えっと……ユーリ? 大丈夫ですか?」おっと、大切な友人が呼んでいるようですので、今回はこの辺で。
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