思ったよりも穴だらけ


とりあえず山に入ったはいいものの、

これからどうすればいいんだ?

マリーは私が魔物だって思われなくなるまで

隠れていてって言ってたけど、

ここにはいられない。


ここだと多分食料も足りなくなるし、

あの村の子どもがあそびにくるかもしれない。

それを考えたら別の場所に移動するべきだな。

私はここらへんの地図を思い出す。

村にあった地図が正しいなら、

私は今村の東にいる。

村には近づけないから私が今行けるのは

さらに東にある森……かな。

北は王国に近いから少し危ない。

南は平原だから食料の確保ができない。

慣れてる人なら平原でも魔物を狩って

生きていけるだろうけど、

私には多分無理だから多少危なくても

木の実が集まってそうな森しか選択肢がない。


そうと決まれば早く行動するか。

明るくなったら人が来るかもしれない。

まだ暗い今のうちに移動しないと。

私は村から真反対の方向に進んでいく。

途端に私の目の前は暗くなった。


―――――――――――――――――――――――


みんなが私を囲んで言ってくる。


「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」


「なんでみんなそんなこと言うの?」


「白々しい。お前は人間じゃないんだよ!」


みんなが私を殺そうとしてきて、

私は逃げたけど捕まった。

やだ!やめて……痛い…痛いよ……

マリー、助け……


「あなたみたいな人は知りません。

 魔物が何を言ってるんですか?」


ああ……そうだったんだ……

私は、マリーの家族なんかじゃ……


―――――――――――――――――――――――


私は悲鳴をあげて起き上がる。

体は冷や汗をかいていて、

何か悪夢でも見ていたんだと思う。

何の夢を見ていたのか思い出そうとしたけど、

私は思い出せなかった。


そういえば、ここって……どこ?

周りを見てみると、森に私はいた。

でも、私はさっきまで山にいて――

そもそも、私は何で寝ていたの?

何も思い出せない。もしかして、

昨日無理をしていたせいで無意識に寝ちゃったの?

とりあえず

私が寝ていた理由はこういうことにする。

それでも山からいつの間にか降りてるのは何で?

……いや、考えたって仕方ないか。


私はこれからこの森で暮らしていくんだ。

私は先の見えない森を見て思う。

それじゃあ、まずは家をつくるか。

って考えたけど、そんな力はない。

後ろの山に洞窟がないか探してみることにした。


―――――――――――――――――――――――


……これでいいか。

一つぐらい洞窟はあるとおもってたけど、

全然そんなことなかった。まあ、

私が寝っ転がれそうな空間は

あったからよしとしよう。


これで寝る場所はなんとかなる。

次は……ご飯だよなあ。これが一番大変だよね……

木の実は確かにありそうだけど、

私が生きていける量ってあるかな?

できれば動物を捕まえるのは嫌だ。

多分無駄に体力を使って終わると思う。

それと、水はどこかに川が流れているはず。

たしか地図に川が書いてあったって……

……私、今どこか分からない……


どうしよう?こうなるとは思ってなかった。

せめて寝てなければどうにかなったのに。

……川って山から流れてたよね?

こうなったら、山の周り歩くしか……ん?

毎日川まで私行くの?

入れ物がないから水を溜められない。

今日で川は見つけなきゃだけど、

もし結構離れてたら、やばいよね?

水ないと私簡単に死んじゃう気がする。

……第一拠点は放棄します。


―――――――――――――――――――――――


喉乾いた……もっと持つと思ってたけど、

よく考えたら最後に水飲んだのポーションだよ。

むしろよくここまで頑張ったよ私。

これから頑張ってこうって感じだったのに

もう駄目なの?

あー、生きるのに必要なものの優先順位間違えた。

最っ悪な気分だよ。

私はかなり疲れててもう休みたいけど、

ここで止まったら進めない気がして休めない。


……あれ?あれって水か?

前に川が見えた。やった!やったよ!

私は今までの疲れが全部消えた気がして、

川に向かって走り出す。

私は川の中に手を入れてみると冷たかった。

私はこれが本当に川なのだと思ったら

我慢できなくて手ですくって飲む。

入れ物がないからしょうがない。


……凄い久しぶりに飲んだ気がする。

水ってこんなに美味しかったっけ?幸せだなあ。

俺は川沿いで寝っ転がって休む。


さて、気を取り直して家を探すか……

いや待って、作れるかも。

さっきの第一拠点みたいに穴を掘ればいいんじゃ?

ある程度大きくないと駄目だと思ったから、

最初は考えてなかったけど、

実際に入ってみるとそんなに広くなくても

寝るぐらいはできそうだった。

相変わらず道具はないけど、やるか。


―――――――――――――――――――――――


目の前には1人座れるぐらいの窪みができていた。

ただし屋根はない。


いや、私頑張ったよね?しょうがないじゃん。

崩れてきちゃったんだから。

風はしのげるんだから問題ない。

……本当にしのげるか?

――日。あと少しで暮れるなあ。……危なくない?

食料は無い、道具も無い。

何にも準備が終わってない。


ここってたしか魔物出るよね?

……でも今日一度も出てきてないし、うん。

覚悟決めるか……


私は川沿いを歩いてどこかに木の実がないか探す。

この状況で森の深いところにいたくない。

できればここら辺で見つかってほしいけど……

森の奥から何かが動く音がして、嫌な予感がする。

ねえ、ちょっと嘘でしょ?

ま、まあ?一匹ならなんとかなるし?


狼が3匹出てきた。

……私、怒っていいよね?

ほらまじで救いの神ってさあ!












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