第二章 丑満時
第16話 蘇りしは吉備の鬼
なんと昔があったげな。ここは古代の
「婆さん、それは
「爺さん、昔話なんじゃけぇ、土地により
「じゃ・け・ど、婆さんのは
「ふふふふ。そんなに言うんなら、爺さんが自分で話してみられー」
「語り部なんぞわしにはよーできん」
「あらすじでええ。聞いちゃる」
「鬼はええやつなんじゃ。本当は吉備の王じゃ。名君じゃったんじゃ」
「ほほう」
「
「はあ。胡散臭い歴史雑誌にでも影響されたんかのう。
「そうじゃな。ここは我らがひ孫の意見を聞くとしよう」
「……」
「え?鬼の名前?それはのう、
「そこはわしも一緒じゃな、婆さん。光、温羅はなぁ、吉備一番の鬼なんじゃ!」
◇
退屈極まりない牢獄生活の中から、男を救い出したのは一人の少年だった。しかし男を陥れ、逮捕される原因を作ったものもその少年である、そう考えてもいる。少年は、
しかしその願いは、サンタクロースの実在を信じて疑わぬような、純真な子供のそれではない。いわずもがな、妖怪は人とは異なる。それでいていくつかの
男はもはや、大槻から逃れることはできない。彼から二人目の
男は丘を登り終え、眼下を見渡した。田舎町の平板な風景がどこまでも続いている。
この杖―
「
「ああ」
その者の発した一言に、男は内心驚喜した。
新たなる杖の法師。男の名を、
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