第6話 策謀の摩天楼
右手と左足、左手と右足、右手と左足、左手と右足……。
「おいおい、そんなぎこちない
一回りも二回りも大きな熊が、背後から緋出を
「うるさいなあ。こっちにはエキノコックスがあるんだからな」
「寄生虫だっけ?おお怖い。くわばらくわばら」
「何それ?」
「知らね。
紗耶香とは響太の
現代の学校教育は、ほとんど体験授業を通じて行われる。必要な知識は体内端末によって瞬時に検索できるため、
「それよりさ、今朝のニュース見たかよ」
「ああ、二年前の誘拐殺人のことか。妖怪の仕業だなんて、あり得ないよな」
「そうそう、その妖怪!実はさ、
緋出はびくりとして、総身の毛を逆立てた。鳥肌も立ったのかどうかは分からない。
「ええと………天蚕糸神社の
「それは神様だから、違うんじゃね?」
違うのか。
「とあるオカルトサイトに載ってたんだ、
響太は緋出に比べて快活で行動力に
「しょーもな。一人で行って妖怪に食べられちゃえば?」
「えー。お前にしては珍しいな。俺の誘いを突っぱねるなんてさ」
剣塚古墳。近いうちにこっそり行ってみよう。緋出はそう決意して、
◇
おごれるものも久しからず。
「研究所への押し込みにより、我々は全ての
赤鼻の
「アタシが取りに行こうかな。
不定形の白い
「しかし
「この
部屋の隅に控えていた少年が、十二単の女の言葉に答える。
「でも紫蘭クンさあ、君の部下の
「研究員の息子―
「では大槻よ、次の策について聞かせてもらおうか」
大天狗の鈍重な声が、部屋中に響き渡る。
「あっそういえば!今日あいついないじゃん。座長のくせして欠席するなんてありえねー」
靄が話の腰を折る。
「
十二単の女がフォローした。
「あ、そっか」
一瞬の沈黙を破って、紫蘭が答える。
「目には目を、歯には歯を、法師には法師を。逢魔座所有の百鬼招具五基の内、解析の完了したものは
「承知した。
大天狗は
「もしもし―」
スマートフォンを耳に当てた少年の
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