第18話 アンドロイド顕現

 畑を眺めているとiPhoneXXから着信音がした。

 女神達からのline通話ではない。

 普通の電話の方だ。

 知らない番号だったが、俺は出た。


「妾の魔人を2人も倒しおったの」

 知らない声だったが、心当たりはあった。多分、アンドロイド本人だろう。

「せっかくじゃ、妾本人が相手をしてくれようぞ」


 その時、目の前の空が歪み始めた。アンドロイド本人が出てくるのだろう。

 それと同時にシリから連絡が入った。


「お前、やばそうな時に何だ」

「アンドロイドちゃんが出てくるようだから、私が透さんを助けようと思って。とりあえず地面にiPhoneを置いて。あとお前って呼ばない」


 俺は言われるがままにiPhoneXXを地面に置いた。

 そうしたら、iPhoneXXの画面から指が飛び出してきた。


「ちょっ、お前、冗談はよせって。iPhoneXXの画面から出てこれるサイズじゃないだろう」

「お、お前って呼ばない。し、シリちゃんって、呼んでね」


 かなり苦しそうだ。それでも画面から腕が出てきた。最大の難関は頭じゃないだろうか。


「お前は、貞子かよ。怖いって」

「だ、だからお前って、い、言わない」

「iPhoneXXが壊れるぞ」

「だ、大丈夫。わ、私はスマホの、め、女神よ。こ、これくらいのことで」


ずぼ。頭が出てきた。


「ミシミシいってるぞ。本当に大丈夫なのか」

「i、iPhoneは頑丈なのよ。こ、これくらいで壊れるわけがないじゃない」


 そうしているうちに、もう一本の片腕も出てきた。

 そこからシリは両腕を地面について一気に出ようと力んでいた。


「あのー、妾はもう出現しているのじゃが、構ってはもらえんかのー」

「ちょ、待ってくれ。アンドロイドさんよ。見ての通り、こっちはそれどころじゃないんだ」


 ずずずずず。

 スマホからシリのからだが出てきた。

 しかし、お尻付近で画面につっかえてしまった。


「シリさんよ。どうやらお尻が大きいんじゃないですか。しりだけに」

「はい、透さん。セクハラです。女神にセクハラですから、後でペナルティをあげますね。」


 俺は何も言わずにシリの両腕をつかみ一気に引っこ抜こうとした。


「よし、一気に引っこ抜くぞ。いっせの、せー」


 iPhoneXXからメキメキ大きな音が鳴って、シリのからだが全部でてきた。


「ふー、やっと出てこれましたね」


 俺はiPhoneXXを拾って、壊れていないか確かめた。

 見た感じ画面にヒビも入っていないし、普通にホーム画面が表示されていた。


「そもそも女神ともあろうお方がiPhoneの画面からしか出てこれないというのはおかしいんじゃないか」

「いいえ、iPhoneの女神らしい移動方法だと私は思うわ」

「それにしては画面から出るのに手こずっていたと思うが」

「しかたないじゃない。iPadならまだしもiPhoneの画面は小さいんだから」


 またline通話の着信音がした。

 確認したらコルタナからであった。

 コルタナもiPhoneから出てこようとするのだろうか。

 話がややこしくなりそうだから、俺は着信を切った。


「さて、アンドロイド、シリはこうして出現できた。待っててくれてありがとな」

「私の女神像はアンドロイドに壊された…」


 いきなりコルタナ本人が現れた。

 やっぱりiPhoneから無理やり出なくても出現できるじゃないか。

 これで女神3人が出そろったわけだ。

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