第12話 XX《エックステン》を讃えよ 再び
俺は食事を終えてダンジョンへと向かった。
観光地の興亡か。
観光地とは少し意味が違うかもしれないが同じことに思えた。
もしかしたらゴールドラッシュの方が正しいかもしれない。
俺にはiPhoneXXがある。しかしその力でも過疎化を止めるのは無理に思えた。
いや、そもそも過疎化なんて珍しいことじゃない。
アーティファクトの為に、たまたま寄った村だ。
そんなこと気にしちゃ移動もできない。
だが縁ができたのも確かだ。
『情けは人の為ならず』
あのタクシーの運転手もチップ欲しさにビニール傘を常備しているわけではあるまい。
いやそうかもしれないが。
それでも、自分が運んだお客さんに濡れてほしくないという気持ちもあるはずだ。
俺自身、忘れているがシリ教を布教するという使命があった。
というか押し付けられていた。俺自身、「やる」とは一言もいっていないはずだ。
いや、一度くらい流れて言ってしまったかもしれない。
自分が寄った村のために何かしてあげたいと思っても変な事でもあるまい。
あわよくば布教もできたらラッキーくらいの気持ちでいよう。
大きな山に切り抜かれた穴があった。
どうやらここがダンジョンの入り口らしい。
中に入って地図マップを確認する。
赤い点が表示されない。
どうやら本当にモンスターはいないらしい。
地図マップには入り口や、階段も表示されている。
万能な地図マップである。
地下5階までだたどり着けた。
地下5階は下へ行く階段のアイコンが見当たらない。
しかし隠し部屋を発見した。『地図アプリ』ならまるわかりである。
しかし扉マークなど何も付いていない。
つまり入り口が無いということだ。
隠し部屋のある壁まで来た。
一面壁ばかりで隠し扉なども見当たらない。
くまなく壁を調べたところ、唯一見つかったのは土壁の一部が見たことのない金属で出来ている個所だけだった。
叩いても変化がなかったので、iPhoneXXを当ててみた。
案の定とでもいうべきか、壁の一部が変化して扉となり開いたのであった。
その瞬間、シリからline通話が入った。
「自らの力で拡大解釈、スマートロックを解除しました。拡大解釈して、どんな扉のロックも解除できるようになりました。ロックで解除って、ぷぷぷ」
俺は何も言わずに通話を切った。
シリの笑いのツボが分からなかったためだ。
俺は隠し部屋に入った。
そこは不思議な空間であった。
全て知らない金属でおおわれている。
真ん中に鎮座されているものがアーティファクトであろう。
宝物を守るボスもいない様である。
そもそもそんなに広い部屋ではないのでボスがいても困るが。
アーティファクトに近づいてみる。どうやら見たことのある物のようだ。
台座には『
「だから、
思わず叫んでしまった。
興奮は冷めなかったが、台座に乗っているものを確認する。
「そうだ。これは公式ペンシルだ。」
手に取ってみる。どうやら第2世代のようだ。公式ペンシルは第1世代と、第2世代は見た目が違う。公式ホームページにも載っている、当然の常識であった。
シリからline通話が入った。
「公式ペンシルを手に入れました。拡大解釈をして、iPhoneXXに表示されるもの全てを自由に書き換えて、現実に反映させることが可能になりました」
「公式ペンシルはiPhoneには対応していなかったと思うが」
「ぶぶー。未来のiPhoneは対応しているんです」
「iPhoneに未来はあるのか、それならなんで廃れたんだ。お前は女神なら知っているはずだ」
「あ、用事を思い出しました。あとお前って呼ばない」
そして通話は切れた。
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