第10話 再びロンロ村へ

「なんでわしを目隠ししているのだ?」

「気にしないでくれ。これが最善の移動方法なんだ」


 今は夜だ。

 ロンロ村まで歩くのはきつい。かといってコルタナ集落には安全に泊まる場所はない。

 だから俺はロンロ村までタクシーで戻ることにした。


 『Udon Taxi』での移動はさすがに人に見られるのはまずい。

 だからこうして目隠しをして乗ってもらっている。

 ちなみに運転手はさっきの運転手とは違う人だった。


「なにか聞きなれない音もするのだが。なにをしているのだ」

「気にするな。ちゃんとロンロ村まで届けてやるからさ」


 ロンロ村付近で車を止めてもらう。


「じゃあ、ここでお別れだ。ちゃんと食堂に行って、俺の名前を出せよ」

「わしは、シリ教もアンドロイド教も嫌いだ。でもお前のことは嫌いじゃない」


 老人に言われてもな。

 俺は肩をすくめた。

 そのまま後ろを向いて、歩き始めた。

 

 女将に今日旅立つと言ってしまった手前、夜に戻るのは気まずい。

 俺は別の宿へ泊まることにした。

 一応シリに連絡した。


「はーい。いつもかわいいスタイル抜群のシリちゃんだよ」

「コルタナ教の信者を1人助けたが、改宗にはならなかったな。そして3人目の女神はアンドロイドっていうんだな」

「うん。アンドロイドちゃんは完璧主義だから、現在の一人勝ち状態でも、自分の宗教への改宗を積極的にしているわ。手段を問わずにね」


「なるほどね。で、おれはどうすればいい。お金稼ぎより、アンドロイドをどうにかした方が早いと思うのだが」

「期が熟したらね。アンドロイドちゃんはめったにこの世界に現れないのよ」


「そういえばお前たちは普段どこにいるんだ」

「お前って呼ばない。私はシリよ。女神は女神の世界があるのよ。そこに個別の空間があるの。そして、女神同士空間では干渉できないのよ」

「期が熟すというのは?」

「アンドロイドちゃんがこの世界に現れるた時かしら。あ、女神同士で争うのは禁じられているから、透さんが何とかして下さいね」


「女神を何とかしろとは。無理なことを言うね、シリは」

「そうですね。それならパワーアップをしましょう」

「どうするんだ?」

「アーティファクトが眠っているダンジョンがあります。そこに行きましょう」

「行きましょうって、俺だけだよな」


「もちろん。そのiPhoneXXがあれば十分でしょう」

「そう言われればそうなんだが」

「アーティファクトのあるダンジョンはマビルという村にあります。今日は遅いですから、明日行ってみて下さいね」

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